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2006年9月22日

男の争い

Photo_12 1955年 <フランス>

監督 ジュールズ・ダッシン

出演 ジャン・セルヴェ

    カール・メイナー

    マガリ・ノエル

    マリー・サブレ 

ストーリー

窃盗罪で5年間刑務所暮らしだったトニーが晴れて出獄した。彼を喜んで迎えたジョーは、昔の恩義を忘れず、彼に一旗挙げさせようと仲間のマリオと共に宝石店に押し入る計画を誘った。だがトニーはその前に妻のマドーに会いに行った。しかし5年間の月日は長く、彼女はトニーの宿敵ピエールの情婦になっていた。妻の不倫を確め彼女を痛めつけたトニーはジョーにもっと大きな仕事を持ちかけた。ジョーとマリオはミラノから金庫破りの名人セザールを呼び、警戒厳重な宝石店の金庫から、二億フランの宝石を奪うことに成功した。しかしセザールは指輪を一つ持ち出し、ピエールの店で逢った歌ヴィヴィアーナと一夜限りの関係を持ち、指輪を彼女に贈った。しかし、その指輪からピエールはトニーの一味が金庫破りをしたことを嗅ぎつけ、それを自分の物にしようと動き出した…。

Photo_13

    トニー(ジャン・セルヴェ)と妻マドー(マリー・サブレ)

グリーンベイさん一押しの映画です。この映画を観た後に、ほ~…と深い深呼吸をしました。どうも私は映画を観るとき口を開けるのが癖なんですが、口が開きっぱなし。文字通り“息つく暇もない”映画でしたね。『日曜日はダメよ』と『トプカピ』のような軽妙な映画しか観たことのないジュールズ・ダッシン監督作品ですが、素晴らしい“フレンチ・ノワール”映画でした。なんと監督自身も<金庫破りの名人、セザール>で出演なさってます。

                    渋すぎるジャン・セルヴェ

Photo_15トニー扮するジャン・セルヴェがなんといっても素晴らしいですね。年老いたギャングなんですが、その存在感は見る者を釘付けにします。その他の役者たちも、色とりどりくせ者揃いですね。

そして<金庫破り>をするときの緊張感といったら、本当に息が出来ないほどです。まずは宝石店がどういう地区にあるか?何時に通りの店が開店するか、警察の巡回が何時にあるのか、下調べを入念なまでに行い、そして<金庫破り>のシークエンスは台詞がいっさい無し。一味が2階の天井から1階にある宝石店に入るまで、店の中に入ってから、金庫をこじ開け宝石が入った袋を奪うまで、彼らの足音や機械の音のみで進行していきます。トニーの一味の誰もが成功をかみ締め、宝石をお金に変えてそれぞれの夢を語るシーンも良いのですよ。しかし、セザールがピエールの店の歌手ヴィヴィアーナに入れあげて、つい盗んだ指輪を彼女にあげてしまう…。歌手役のマガリ・ノエル嬢もなかなかセクシーな歌姫でした。セザールが惚れるのも無理が無いですね。しかしそれが原因でトニーの一味はピエールに脅され、宝石の隠し場所を言うもの、言わないものの見境なしに殺しが始まる…。 

こういう素晴らしい映画にめぐり合うことはとても幸せなことです。クラシック映画はつまらない…などと言う人がいるのも確かですが(それにレンタル屋にはクラシック映画はほとんど置いてませんし…)そういう人にこそ観てもらい映画でした。

    金庫破りの男たち

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映画 フランス」カテゴリの記事

コメント

オショーネシー様

そういうことですか。
日本語訳にとんでもない間違いはなかったと思いますが、満足しているわけではありません。
コストの問題があるので難しいかもしれませんが字幕一枚当たりの表示時間を短くした原語になるべく近い訳を提供する上級者向け字幕を付けて欲しいと思います。

投稿: たけだ | 2009年11月17日 18:52

>たけだ様
ああ、誤解があったようですね。
「賭博師ボブ」、日本盤持っています。
字幕が心配と書いたのは、ユニヴァーサルの廉価版なので
字幕がどこまで、原作のニュアンスに近づけるかと思い、
「心配」と書いたまでです。

投稿: オショーネシー | 2009年11月16日 21:30

オショーネシーさま

レスありがとうございます。

『賭博師ボブ』は、日本版が出ていますが......。

投稿: たけだ | 2009年11月14日 21:45

>たけだ様
「男の争い」は間違いなくダッシンのピークであり、最高傑作でしょう。
もちろん、映画史的にはジャック・ベッケル、アンソニー・マン、ジョセフ・ロージー、ニコラス・レイの方が重要なんでしょうが、ダッシンもメリナ・メリクーリに出会うまでは重要な映画を撮っていたと思います。彼はメリクーリという伴侶を得て、過小評価される監督になったのだと思います。
今はなかなか映画が見られない環境にいるので難しいのですが、近いうちに「賭博師ボブ」を観てみたいと思います。(字幕が心配ですが…)

投稿: オショーネシー | 2009年11月13日 22:20

オショーネシー様

非常に画質の良いDVDを入手しました。
超低予算の映画なんですがそれを殆ど感じさせない出来映えにまず脱帽です。
装置にトローネル(ビリー・ワイルダーとのコラボレーションの始まる直前ですね)、撮影に『舞踏会の手帖』や『夜の門』(枯葉が使われた作品)のフィリップ・アゴスティニを起用したのがプロデューサーだとしたら大したプロデューサーです。
残念なのはジョルジュ・オーリックの音楽がちょっと旧すぎると言う印象です。
製作にはRENE BEZARD, HENRI BEZARD, PIERRE CABOUDの3人がクレジットされています。
RENEの方はフェリーニの『甘い生活』、ヴィスコンティの『山猫』などの製作にも関わったようです。
ダッシンにこの作品の監督を打診したのはHENRIのようです。
戦前は端正な二枚目として人気があったジャン・セルヴェは熱演ですがちょっと目を剥き過ぎですね。フランソワ・ペリエあたりが適役だと思いますが当時は若すぎたでしょうか。
若きロベール・オッセンやマーガリ・ノエルを観られたのも興味深かったです。

『現金に手を出すな』との比較で言えば私は『現金』の方が好きですし、映画史的に言ってもダッシンよりベッケルの方が重要だと思います。
ダッシンは96歳で大往生するわけですが作品としては本作がピークではなかったでしょうか(『深夜復讐便』の方が好きですが)。
ほぼ同年代のアンソニー・マン、ジョセフ・ロージー、ニコラス・レイに比べると長生きしたし、彼らの厳しい後半生よりは穏やかな生活だったのかも知れませんが、メルクーリという伴侶が映画作家ダッシンンとって良かったのかどうか・・・・・・。

この作品の姉妹編と言えるメルヴィルの『賭博師ボブ』(原作者ド・ブルトンが脚本に協力)と見比べることをオススメします。

投稿: たけだ | 2009年11月 8日 11:52

オショーネシーさん・・・今晩は。
うーーーん。期待していた通りのコメントで嬉しく思います。・・・さりげない・・・映像に拘りの演出・・・凄いですね。再見されて新しい発見が御座いましたか。
 蓮実重彦先生曰く「一度きり観たことの無い作品を好きだの嫌いだの云ってはいけない」・・・。肝に命じています。所謂、名作と云われる作品は再見を繰り返す度に新しい発見がありますね。
 それにしてもレヴュー・トップのレイアウト・・・素敵ですね。濃紺のフレームに背景の黄色、J・セルビエの白黒鮮やかなスチール・・・オショーネシーさんの美的感覚には驚かされます。キットご自身も鋭い感性をお持ちなのでしょう・・・又、オシャレな方なんでしょうね・・・。

投稿: グリーンベイ | 2006年9月26日 18:48

>クリーンベイさん
う~む…グリーンベイさん、なかなか難しい宿題をお出しになりますね。『男の争い』のラスト、再見いたしました。
そうですねぇ…、ラストのシーンは完全にジャン・セルヴェの目線から語られるんですね。子供を何とか母親の許に届けようと必死に運転するジャン・セルヴェ。一方子供のほうは危機が迫っているとは思わずに無邪気に遊んでいる…。ジャン・セルヴェが思わず見上げた木々に気を失いそうになりながらも、子供の父親が殺されたのは自分のせいだと思い、ハンドルを握り、揺れる路地、揺れる街灯の中を必死に運転する。もう誰の声も聞こえないままで運転を続け、アパートの近くで力尽きる。ここから場面は完全に引きのショットなんですね。ジャン・セルヴェが亡くなっているのも大げさになるのを避け、そして警官がトランクを開けるシーンでFIN…。まるで眠っているような顔のジャン・セルヴェ。
完全にやられましたね。この徹底した“さりげなさ”が素晴らしいんですね。う~ん、フランス映画のラストは奥が深いというかなんというか…。

投稿: オショーネシー | 2006年9月26日 00:34

 オショーネシーさん・・・今晩は。
うーーーん。ラストシーンの感想ですが・・・分かりますが、一寸、物足りません。(笑)
映画少年の感動したショット・・・とは。
・・・子供を母親に届けようと・・・必死にハンドルを握るトニー・・・そして力尽きてアパートの近くでクルマは止まる・・・母親はわが子をクルマから救い上げる・・・カメラはロングに引く・・・「警官がクルマに積んである大金の詰まったトランクを開ける・・・FIN・・・」このさり気ないロングショットに・・・監督の憎いばかりの演出力に映画少年は感心するばかりなのです。
オショーネシーさん・・・今一度、ラストを再見いただけませんか・・・。(笑)
 フランス映画のラストシーンには・・・秀作が多い中、この「男の争い」のラストは抜群の類に入るでしょう・・・。

投稿: グリーンベイ | 2006年9月25日 20:13

>グリーンベイさん
う~ん…グリーンベイさんは本当に素晴らしい映画環境にいるのですね。ウチのTVはまだ10年ものの20インチワイドのブラウン管ですよ。すべての地域が地上デジタルになったときにTV購入を考えていますが、やっぱり液晶よりプラズマですよね。

『男の争い』のラストですが、このシーンも緊張感いっぱいでしたね。銃撃戦で撃たれたジャン・セルヴェが誘拐された男の子を家まで連れて行く…。彼はお腹のあたりを撃たれていて傷はどんどん深くなる。気が遠くなりながらも車を走らせるジャン・セルヴェ。なんとスリリングなことか!!そして男の子の家の近くまで来たときに…ぐ~っと、FINの文字が…。劇的でもあり、さりなくもある、この相反したFIN…。まったくお手上げです。この終わり方が『男の争い』又ジャン・セルヴェの雰囲気を支えているようにも思えました。
私の枯渇した頭の中の感想はそれしか言えません。

投稿: オショーネシー | 2006年9月25日 18:53

 オショーネシーさん・・・今晩は。
いい作品に巡り合うことは幸せなことですね。
又、映画は大型スクリーンで鑑賞できれば、その魅力は倍増ですね・・・映画少年は130インチ・バーコビジョン(6スピーカー方式・・・殆ど映画館と同じ)で鑑賞しています。当地で所得番付一位に何回もランクされた・・・同級生で産婦人科医が、億の私費を投じて建てたライブハウス「ミュージック・ギャラリー・ゲリーンベイ」にこの装置があります。館では月2回、クラシック映画を中心に「名画鑑賞会」を主宰しています。鑑賞した作品は100本を超えています。こんな素晴らしい環境で暮らしています・・・とてもありがたい事です。尚、自室のテレビはプラズマ・35インチですが十分です。(笑)
さてと・・・うーーーん。この「男の争い」ですが・・・オショーネシーさんのご指摘のように・・・ジャン・セルビエの色にこの作品は染まっていますね。この作品の雰囲気が好きだと言いましたが・・・彼の陰影が色濃く出た面構え・・・彼で持っているフレンチ・ノワール作品と云っても過言ではない。
ところで・・ラストシーン・・・FIN・・・の背景をどの様に思われましたか・・・一言、コメント願いあげます・・・。

投稿: グリーンベイ | 2006年9月24日 22:13

>グリーンベイさん
この映画は本当に“素晴らしい”の一言です。ショックを受けたと言っても過言ではないです。
ジャン・セルヴェが本当に渋くってかっこよいんですよね。そのせいか映画自体も彼の“色”に染まってますね。

『現金に手をだすな』はノワール映画というより、男2人の友情物語みたいなものがありますね。『男の争い』はまさに“フレンチ・ノワール”。グリーンベイさんが教えてくれなかったら、持っていながら観ないDVDとして埋もれていたかもしれません。紹介してくださってありがとうございます。

投稿: オショーネシー | 2006年9月24日 14:24

 オショーネシーさん・・・お早う御座います。
みちのく小旅行とシャレこんで・・・延べ700キロのドライブを楽しんで昨夜帰ったところです・・・。
早速、日記を覗いて・・・興奮しました。有難う。コメントの内容も映画少年の心に秘めた作品評価と同調するものでした・・・。
J・ダッシン監督作品は、「裸の町」(48)と「日曜はダメよ」(60)を観ていますが、「裸の町」はこの「男の争い」と同様に監督の独特の演出が冴えた屋外撮影が多いサスペンス映画の傑作でしたね。又、「日曜はダメよ」は、奥さんのメリナ・メルクーリ嬢と共演したエーゲ海の空のように明るい喜劇仕立ての傑作でした。
それにしてもこの「男の争い」の作品の持つ雰囲気が堪らなく好きなんです。野外撮影の素晴らしさは勿論・・・中でも車を駐車場に乗り捨てるシーン・・・トニーがソフトを被りラグラン袖のコートを羽織りモンマルトルの丘界隈を歩く後姿・・・子供を救いに電車に乗り込む駅頭で振り返り・・・マドーにそそぐ眼差しのロングショット・・・映画少年の最も感心するショットは・・・やはりラストです・・・FIN・・・さり気ないロングショットですが・・・内容は言うまい・・・これぞフランス映画ですね・・・シビレました。フレンチ・ルノワール作品の二大傑作と言われている「現金に手を出すな」(54)と「男の争い」ですが、映画少年はこの「男の争い」を上位においています・・・。
ジャン・シルビエ・・・渋いですね。ジャン・ギャバンにはない男の色気がありますね・・・好きな男優の一人です・・・。

投稿: グリーンベイ | 2006年9月24日 09:13

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