素晴らしき哉、人生!
監督 フランク・キャプラ
出演 ジェームズ・
スチュアート
ドナ・リード
ライオネル・
バリモア
ストーリー
ジョージ・ベイリーは、子供の頃から生まれ故郷の小さな町ベタフォードを飛び出し、世界一周をしたいという希望を持っていた。彼の父親は、住宅金融会社を経営し、町の貧しい人々に低金利で住宅を提供し尊敬を集めていたが、町を牛耳る銀行家のポッターはこれを目の仇にして、事あるごとに彼に対し圧迫を加えていた。カレッジを卒業したジョージは念願の海外旅行へ出ようとしたが、突然彼の父親が過労のせいで世を去ってしまった。ジョージは株主会議で後継社長に任命され、承諾せねばならない羽目になり、弟が大学を卒業したら会社を譲ることにして、海外旅行も一時的におあずけとなった。ところが4年経って大学を卒業した弟は、大工場主の娘と結婚しており、その工場を継ぐことになっていた。ジョージの夢は破れ去ったが…。
世界一周旅行に夢をかけるジョージ・ベイリー
(ジェームズ・スチュアート)
クリスマスなんで、クリスマスにちなんだ映画の登場です。
イヴに皆がジョージ・ベイリーのことを祈っている…それを空のはるか彼方から見守る天使達。彼の為に誰が地上に派遣されるかという議論の中で、是非自分が行きたいと立候補した天使は、翼を持たない2級天使だった。見事彼を救うことが出来たら翼をもらえるということで、彼は地上に舞い落ちる。
その前に彼の幼少時代からのおさらい。たぶんにもれず、腕白な少年時代を過ごしている。雪の山から凍った湖にシャベルで滑り降りるのが大好きな男の子だ。しかし彼の弟が薄い氷に滑り降り、弟を救ったのは良いが左耳が聞こえなくなってしまう。そして小さなパーラー店兼薬品店でアルバイトをしている優秀な少年でもある。したがって女の子にももてる。カレッジを卒業し、そのアルバイトで貯めたお金で世界を見て回ろうと計画を立てていたさなかに、父親が死去する。
町を牛耳る銀行家、ポッター
(ライオネル・バリモア)
父親の会社をどうするかについて株式会議に出席するが、腹黒い銀行家のポッターは会社を解散すればよいと提案を出すが、皆からの嫌われ者の提案を誰も聞き耳立てず、ジョージに会社の社長になることを勧める。彼は世界旅行とその後に大学へ行こうとしていた最中であったが、皆の願いを振り切れずに、新社長として就任。すると会社は瞬く間に大成功。ポッターの怒りをかう。
そして、可愛らしい娘に成長した幼馴染のメアリーと結婚する。新婚旅行に行くはずだったが、何故か彼の会社の前に大勢の人だかりが。実は世界恐慌のあおりで、皆我先にと彼の会社に群がったのだった。もちろんポッターの銀行は閉まっている。ジョージとメアリーは新婚旅行の資金2千ドルを皆に分け与え、危機を救った英雄としてますますジョージの株は上がるばかり。ポッターは悔しがることしきり…。
良妻賢母の鑑、メアリー
新婚旅行へいけなくとも、彼らは幸せであった。メアリーは4人の子をもうけ、ジョージの事業も軌道に乗って絶好調である。
しかし、ある日伯父が銀行から引き出した経営資金の8千ドルを無くしてしまった…。もうジョージも伯父も右往左往である。必死に探したのに、8千ドルはどこにも無い。実はその8千ドルは、ポッターの手に(偶然だが)渡っていた…。
ジョージは橋から身を投げて自殺しようと思っていると、もう1人の老人が身を投げた。必死に助けるジョージ。この老人がジョージを救う為に天から派遣された2級天使、クラレンスだったのだ。
2 級天使クラレンスとジョージ
ジョージがポツリと、「産まれてこなければよかった…。」と言ったのをクラレンスは聞き逃さなかった。そして、ある事を思いつく。それは、“ジョージのいない世界”を作り上げ、彼に見せることだった。
― と、“キャプラ節”絶好調である。もちろん最後はハッピーエンドと決まっていますし。しかし、『オペラハット』や『スミス都に行く』のような“アメリカの良心”の押し売りではなかった事にホッとした私。彼の作品では『或る夜の出来事』や『毒薬と老嬢』みたいな作品が好きなんですよ。
しかし、ポッター役のライオネル・バリモアは凄いの一言ですね。これこそ“性格俳優”という言葉にピッタリの人はいません。キャプラ映画の常連でもありますね。『我が家の楽園』では善人の父親を、『スミス都へ行く』では議会を牛耳る議員を演じています。彼と聞いて思い出すのは、やっぱり『キー・ラーゴ』でしょうかね。
この後、50年代に入るとめっきりフランク・キャプラの作品は減っていくんですね。どうして作品が減ったのかは謎ですが。やはり時間の流れのなかで、キャプラの作るハート・ウォーミングな作風の映画は受けないと会社はよんだのか…。 それともキャプラ自身の制作意欲がなくなったのか。
来年のクリスマス映画は『スィング・ホテル』あたりでしょうか。ビング・クロスビーが“ホワイト・クリスマス”を歌い、フレッド・アステアが華麗に踊る…。今年でもよかったかな…。
そして、グロリア・グレアムも登場しますよ、FROSTさん。悩ましいバイオレット役で出演してます。町の男達が振り向かずにはいられない(もちろんジミー・スチュアートも)セクシーな娘です。
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コメント
『群集』は、ハートウォーミングなだけではないある意味民衆の恐ろしさも描いた作品だと思います。
この作品を作らなかったら多分、キャプラは『我らは何故戦うか』シリーズの監修は引き受けなかったと思います。
『素晴しき哉!人生』は、公開当時は興行成績が悪く赤字でしたし(製作会社リバティフィルムは本作を入れて2本製作しただけで解散)、「センチメンタルすぎる」という評価が一般的でしたが、後年のテレビ放映がきっかけで再評価されています。
投稿: たけだ | 2009年11月 3日 01:28
>たけだ様
キャプラのスクリューボールコメディは、「或る夜の出来事」1本だけだと思います。
他の作品は「毒薬と老嬢」を除いて、ハートウォーミングな作品ですね。
「素晴らしき哉!人生」は当たらなかったのですか?後年の評価はとても高いですが…。
この作品以降キャプラが作る作品がグッと少なくなりますね。
それはたけだ様の言う通り、ハリウッドとの戦いに充てられていたとしたら、残念ですね。
しかし、その間にキャプラ・タッチは時代遅れになり…。時代のいたずらといいましょうか。
「毒薬と老嬢」はキャプラが作ったとは思えない作品ですね。とてもブラックで楽しい作品だと私は思いましたけど、たけだ様はダメでしたか。残念です。
投稿: オショーネシー | 2009年10月30日 22:08
オショーネシー様
キャプラの『オペラハット』『スミス都へ行く』『群集』の主人公は一種のscrew ball(変人)と見ることも可能ですね。
キャプラは、変人を主人公にした2つのジャンルを30年代に確立した希有な映画作家かもしれません。
多分キャプラは『オペラハット』のラインに軸足をおいていて、スクリューボールコメディーは最優先の作品群ではなかったとおもいます。
戦争中のプロパガンダ映画監修の仕事を終えてハリウッドに復帰して作った最初の作品『素晴らしき哉人生』は、『オペラハット』に連なる作品であり、キャプラ自身が製作したわけで、それが興行的に失敗したことは本人に相当こたえたでしょうね。
私にとって『毒薬と老嬢』の何かが不快感を惹き起こすので3回挑戦しましたが最後まで見通したことは一度も有りません。
多分前作の『群集』の製作過程でキャプラの中の何かが変わったのではないかと思います。
というのも、『スミス都へ行く』でコロムビアとの契約が切れて、『群集』以降は、自分のプロダクションによる自主製作なのですがそれはハリウッドシステムとの過酷な戦いだったと伝えられているからです。
投稿: たけだ | 2009年10月20日 11:51
>グリーンベイさん
すみません。『ラジオ深夜便』聞いたことがないです。ラジオは学生の頃はよく聞いていましたが(主にオールナイト・ニッポンですが…)今は『日高吾郎ショー』(北海道ローカルです)ぐらいしか聞いてませんね…。
『素晴らしき哉、人生!』という映画は確かに松林監督の言うとおり、ポジティブ思考に傾く映画ですね。何か勇気を貰える感じがします。そして家族愛…。(これこそが私達夫婦の最も求めているものなんですが…)
映画には色々な要素がありますが、何も感じない映画はやはり面白くない。コメディでもミュージカルでもシリアス・ドラマでも“何か”を感じ取ることが出来たら、自身の人生にも良い影響を及ぼすと思っています。
しかし戦前に洋画を観まくり、第二次大戦へ出兵していく…そしてアメリカ・映画の国と戦うということは、どのような感じだったのでしょう?上海で『風と共に去りぬ』を観て、この戦争は負ける…と思った映画人も少なからずいたようですね。
そして、日本で最後に公開された洋画は『スミス、都へ行く』だったと思いましたが、この民主主義とはなにか?と問いかける映画を観て日本人は何を思ったのか?興味は尽きないですね。(今は『硫黄島の星条旗』を読んでいますので、第二次対戦関係はとても興味があるんです。一般市民から見た戦争というのはあまり書かれていませんし…)
そして森繁久弥御大、流石は“スター”の輝きですね。“スター”になるべくしてなった方なんでしょうね。(逸話も半端じゃない方ですね)
投稿: オショーネシー | 2006年12月28日 23:32
オショーネシーさん・・・今日は。
うーーーん。NHKラジオ深夜便と云う深夜番組を聴いたことありますか?。
夜中、4時台の「こころの時代」は・・・人生や宗教を語る時間であります。今朝の「こころの時代」には・・・僧侶で海軍士官のキャリアを持ち・・・東宝で「社長シリーズ」を撮った名監督松林氏(87歳)の出演でした。監督は戦前に・・・洋画を手当たり次第見まくったそうです。よくフランク・キャップラ、ルネ・クレール・・・ジュリアン・デヴイヴイエの作品を好んで見たそうです。このことが戦後に映画監督になって映画制作に大いなる財産になったと話しておられた・・・。
特に、フランク・キャップラの「素晴らしき哉、人生」・・・この作品の精神をバックボーンに据えて此れまで生きてきたとも・・・。即ち、如何なる時にもプラス思考で生きることを忘れない・・・と熱く語っておられた。
そう云えば小津監督も南洋戦線に従軍した折、シンガポールで洋画を片っ端から観たと・・・対談で話しておられます・・。
小津監督の初期の作品は洋画っぽい筋立てが多く観られたことに・・・気がつきます。
また、森繁久弥氏にふれて・・・監督が今まで付き合った映画人の中で彼ほど偉大な人物に会ったためしがないことも・・・。そのオーラの凄さは近寄りがたい品格とも云えるものだったとか・・・。
投稿: グリーンベイ | 2006年12月28日 11:25
>グリーンベイさん
すみません。<ある時は怒られたり…>ではなくて、私の言葉遣いを<ある時はたしなめられたり…>でした(笑)
ドナ・リード嬢、結構西部劇への出演が多い方だったんですね。それはそれは…でも想像するのが難しいですね。
実は『地上より永遠に』は、あまり好きではないんですよ。フランク・シナトラが可哀想で可哀想で…。しかし、この映画といったら浜辺のラブシーンに尽きるでしょう。デボラ・カー嬢も今までのイメージを脱ぎ捨て、素晴らしい演技でしたね。(名作なんでしょうが、そのぐらいしか印象に残ってない映画でもありました…)
投稿: オショーネシー | 2006年12月27日 14:08
オショーネシーさん・・・今晩は。
うーーーん。先のコメントでグリーンベイさんに<ある時は怒られたり・・・>(笑)グリーンベイは怒ったことなどありませんよ・・・特に女性を怒るなんてありえないことです・・・。(笑)
ドナ・リード嬢・・・良妻賢母型と云うか、そんな役が確かに多かった・・・。しかし西部劇への出演も多く気丈な女性も演じている・・・印象に残っている作品にジョン・スタージェス・西部劇「六番目の男」(56)がある。ミステリー仕立ての佳作といっていい。仲違いをしたリチャード・ウイドマークの負傷を見て・・・やわら彼女は着ているブラウスを脱いで引きちぎり上半身をアラワにしながらも手当てをするシーンが強烈でした・・・。ある映画本にこのシーンの撮影風景が載っていましたが・・・彼女はピッカピカのブーツを履いていて格好よかった・・・映画の中では埃っぽかった感じだったんだけどね・・・。
他の作品で目立ったものは・・・「雨の朝巴里に死す」(54)「ベニーグッド・マン物語」(56)でしょうか・・・「地上より永遠に」(53)で彼女はオスカー助演女優賞をフランク・シナトラは助演男優賞を受賞したが・・・ランカスターが上官の奥さん(デボラ・カー嬢)との道ならぬ恋が強烈で若い二人の印象は薄いのですね・・・。(笑)
デボラ・カー嬢の不倫なんて考えられなかったんで・・・。流石、役者ですねデボラ・カー嬢も。
投稿: グリーンベイ | 2006年12月27日 02:29
>グリーンベイさん
次々と作品をレビューできるのは、今は体調が良いからなんでしょう。実は精神的な病気を持つ身なんですね。レビューが少なくなったら体調が悪いと思ってください。
しかし、体調が万全ではないときでも映画を観ると顔が輝いてしまいますね。
それにグリーンベイさんのコメントにも力を頂いております。私にとってもグリーンベイさんの影響は大きいものなんですよ。ある時は怒られ、ある時は絶賛される…。グリーンベイさんのコメントには本当に勇気付けられます。こちらこそ感謝です。
この作品は是非クリスマスに観ようと心に決めていたので、録画していたテープは長い間ホコリをかぶっておりました。
配役が完璧でしたね。いかにもジミー・スチュワートのための役、良妻賢母のドナ・リード、悪徳銀行家のライオネル・バリモア、そしてグロリア・グレアム…。
ドナ・リード嬢、その他の作品では『地上より永遠に』しか観たことがないのです。この作品ではちょっとスレた女性の役だったと記憶していますが、彼女は『素晴らしき哉、人生!』のような、ちょっと地味でありながらも堅実な女性という役が似合う女優さんですね。
投稿: オショーネシー | 2006年12月26日 21:18
HNの通りの雰囲気を持つ女性・・・オショーネシーさん・・・今晩は。
次々とまあ・・・作品レヴューアップされますね・・・このエネルギーと云うかパワーに感服しています・・・。
でも、こうした作業の間、オショーネシーさんは生き生きした時間をお過ごしなんだろうと思っております。
なぜなら・・・主宰するグリーンベイ名画鑑賞会の例会プログラムを作る時間は・・・映画少年にとっても楽しいの一語に尽きるからです・・・。
又、例会で作品上映前に、この作品を選んだ理由と解説を交えて話をするのですが・・・最近、代表の話の内容が濃くなったとね?と云われています。(笑)
これは何ということは無い・・・数ヶ月前からオショーネシーさんのレヴューでコメントを書くようになったからです・・・作品を一寸だけ突っ込んで内容の?話をするようになったからでしょう・・・影響は大きいのですよ・・・感謝しています。
そうそうこの作品「素晴らしき哉、人生」(46)・・・コメントでしたね、オショーネシーさんの解説、感想が100点満点で・・・コメントなしです。(笑)・・・又、クリスマスと言うタイミングも時機を得てますね、憎いという感じです。
でも一言・・・ドナ・リード嬢良いですね・・・。
投稿: グリーンベイ | 2006年12月26日 20:01