赤い河
監督 ハワード・ホークス
出演 ジョン・ウェイン
モンゴメリー・クリフト
ジョーン・ドルー
ウォルター・ブレナン
ジョン・アイアランド
ストーリー
南北戦争の14年前。開拓者のダンソンとグルートは2人でテキサスの緑野に大農場を作る希望に燃え、レッド・リヴァーに向かう途中、インディアンの攻撃の手から逃れた少年マシューに出会い、ダンソンは彼を一緒にテキサスに連れて行った。南北戦争も終わり、ダンソンは広大な土地と莫大な家畜を持っていたが、南部には牛肉を買う市場が無かった。今や成人したマシューが戦争から帰ると、ダンソンはミズーリへ家畜一万頭を移動させるという大胆な計画をぶち上げ、牧童たちを雇い、大移動が始まった…。
ダンソン(ジョン・ウェイン)とマシュー(モンゴメリー・クリフト)
しかし、旅は過酷だ。牧童たちの不満もありながらも、ダンソンの“絶対的”な力でミズーリを目指すが、あるとき牧童チェリーの一言でマシューが揺れる。何もミズーリでなくても、カンザスにも鉄道が来ている。ずっと西のアビリーンにも、と。だがあくまでもダンソンはミズーリにこだわった。牧童の死亡するたびにダンソンは牧童を埋葬し聖書を読んだ。牛の暴走もあった。雨が降り続き食料も少なくなってきた。それでもミズーリを目指し旅は続いた。
ある日、インディアンの襲撃から辛くも逃れた男がダンソンたちの前に現れた。彼の話によると、「赤い河」から北へ行けば良かったと言う。旅の途中にそれほど危険がなくカンザスまで行ける道があるという。アビリーンまで鉄道が来ていると彼も言った。仲間割れが始まる。ダンソン以外は皆アビリーンへ心が飛んだ。そしてついに弾と食糧を奪い逃亡する牧童たちが出た。ダンソンはチェリーに彼らを連れ戻すよう命令し、またミズーリへと旅を続けた。こうなればもう“執念”の旅だ。
「赤い河」を渡った翌日、チェリーが逃亡者たちを連れて戻ってきた。ダンソンが彼らを「縛り首」にすると言うと、マシュウがそれに強く抵抗した。そしてついにマシューはアビリーン行きを決めた。自分がダンソンに代わって指揮を執るのだ。グルートさえダンソンを見捨てた。ダンソンはマシューに、いつか必ず現れてお前を殺すと言い残し、一人取り残され、皆はアビリーンへと向かった。
そして、ダンソンが現れるのを恐れながら旅を続けた。
ある日、インディアンの攻撃にさらされている一団を発見する。それを救ったマシューたち。そしてマシューは一団の気の強い女テスと恋に落ちる。テスは彼に関することは何でも知りたがった。特にダンソンとのことを。マシューも素直に彼女に何でも話した。
マシューとテス(ジョーン・ドルー)
しかし、再びアビリーンへ向け旅立った時にはテスは置いていかれた。
そして一週間後、人手を集めてマシューを追ってきたダンソンがテスの一団に行き当たる。テスはダンソンと徹底的に話し合った。2人は何もかも洗いざらい思いをぶちまけた。テスはダンソンと一緒にマシューを追うことを許された。
マシューたちはその後二週間も何もないところを行った。アビリーンなんてあるのかと疑問に思えた瞬間、鉄道が、汽車が走っていた。そしてついにアビリーンへ着いた…。
- 一人の男の怨りつかれたような“執念”の物語。
14年前拾ってやった少年を息子同然に育てながらも裏切られ、殺そうとする男をジョン・ウェインが迫力たっぷり、かつ繊細に演じている。彼の実年齢よりも上の(たぶん)初老の無骨な男をよく演じきった感がひしひしと伝わってきた。この作品の彼の演技は素晴らしいの一言だ。特にクライマックスのマシュー(モンゴメリー・クリフト)との対決のシーンは抜群に良い。牛をかき分けて進んでくる彼の姿は迫力に満ちているとともに、優雅でさえあるのだ。ジョン・ウェインがこんなに優雅な男だったとは!
そして特に印象に残ったのは、テスと語り合ったとき残していった女を亡くして悔やむシーンだ。テキサスを開拓しようと決意したとき、女が「一緒に行く。仕事を手伝う。どんな苦労でも耐えられるから連れて行って」とすがってもダンソンは「呼び寄せる」の一言で彼女を置いていく。そして数時間後にインディアンによって彼女を失うのだ。テスもマシューに置いて行かれた女、「別れるのがつらかった」と言ったとき、ダンソンは「ナイフに刺されたように…」とつぶやく。ジョン・ウェインの心が引き裂かれたような表情、これが女心に染み入るのだ。彼の繊細な演技の勝利だ。
牛の大移動の壮大さ、それを彩る自然の雄大さ。開拓時代の強い女。復讐に燃える一人の男。本物の男たちの物語。西部劇の醍醐味がこの映画には全てといっていいほど詰まっているのではないだろうか。物語の展開に不安を覚え、すっかり虜になっていた。楽しいひと時を過ごした。満足した。
そしてモンゴメリー・クリフトは、トム・クルーズに瓜二つなのであった。ちょっとした発見…。
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コメント
>夢でいいから様
今はシネコン全盛ですが、ちょっと一昔はそんな映画館がいっぱいありましたね。
私もそんなような環境で映画を観たものです。
フフフ…シェリー・ウィンタースが当時から意地悪そうでしたか。
気が向いたらまた寄ってください。
投稿: オショーネシー | 2009年11月13日 22:26
はじめまして。迷い込みました。
この映画を最初に見たのが東京都内ですが、記憶では床ではなくて「土」そのもの、エアコンなんかはある筈はなく扇風機、扉ではなく黒のカーテンがwと言うか互い違いに、天井からは時折外光が・・。二本立てではなかったけどロード・ショーの次の二番落ちでしょう。以後はDVDで。印象的なのはモンティーが売る時に、久しぶりに天井を見たとかなんとか買い手に話す。シェリー・ウインターズがちょこっと出て、この頃から意地悪そうでした(笑)。
次からは短めのコメントにします。お許し下さい。
投稿: 夢でいいから | 2009年11月10日 02:30
>ユージンさん
こんにちは。
こちらもようやく平年並みの気温になって、ようやく秋本番って感じです。すぐ冬が来ますけどね。
ハワード・ホークス監督作品、いいですよねぇ。
「赤い河」は硬派な作品でしたが、彼の作品はどれもエンターテイメント。
この前「脱出」を観ましたが、ボギーもバコールもかっこいいったら!彼はバコールの発掘者でもありますね。
30~40年代のコメディも楽しいですし、西部劇もこなす、オールマイティな監督さんですね。
ユージンさんも、益々お忙しいなか体調を気をつけてくださいね。そちらにもまたお邪魔します。
ではでは。
投稿: オショーネシー | 2007年10月 9日 16:45
お早うございます。
またまた、ご無沙汰しちゃって…
すみません。
そちらは結構寒くなってきていますか?
東京も昨日は寒い休日でした。
『赤い河』
いいですよねぇ。
というか、ハワード・ホークス作品が
好きなんですけど(^¥^)
この作品を観ると、劇中にこの作品が登場する…あの作品が観たくなってしまいます。
また、この作品でデビューした…
モンゴメリー・クリフトが生き生きしてるというか初々しいし、若い力を感じます。
晩年の悲惨に事故や出来事を思うと…感慨深いですが。
風邪とか、気をつけて下さいね♪
投稿: ユージン | 2007年10月 9日 04:26
>グリーンベイさん
この作品って「戦艦バウンティ号の叛乱」の西部劇版なんですか?全然気づきませんでしたよ。やっぱりこの作品のほうが断然良く出来ている感じが否めませんねぇ。
ジョン・フォード監督も協力したとは知りませんでした。ただ、よくフォード作品と勘違いされることが多いようですね。
いつも感心させらるのが、グリーンベイさんの映画音楽への知識の深さなんですよ。う~ん…私にはてんで分らない音樂をズバッと突いてくる。本当に感服です。
グリーンベイさんのコメント第二号に続く…。
投稿: オショーネシー | 2007年10月 7日 19:18
オショーネシーさん・・・今日は。
うーーーん。・・・<西部劇の醍醐味が此の映画には全て詰まっているのではないだろうか。物語にも不安を覚えながらすっかり虜になっていた。楽しいひと時を過ごした。満足でした>・・・。
この作品は西部劇フアンに、貴方の西部劇ベスト・10はと尋ねれば10人中8人まで一位ではないまでも必ず入っている傑作西部劇でる・・・ご指摘のように西部劇に欠かせない要素が全て詰まっている・・・撃ち合い・インデアンの襲撃・カウボーイの過酷な夜営・暴走する牛の群れ・胸のすくガンプレイ・・・・決闘にも似た殴り合い・・・何といっても一万頭にも及ぶ牛の群れの扱いは壮大なスケールと叙情性を感じる・・・。
原作はサタデイ・イブニング・ポスト誌に掲載された「チゾルム・トレイル」であるが・・・実は、「戦艦バウンテイン号の叛乱」(35)の西部劇版リメイクでもある・・・プライ艦長(チャールス・ロートン)とクリスチャン(クラーク・ゲーブル)の関係を親子の関係に置き換えていたもので・・・しかし、この「赤い河」(48)の方が数段奥行きのある作品に仕上がっていると思う。この作品の撮影に当たってはジョン・フオードも協力しており・・・ジョン・ウエインの存在感抜群の演技に感心し・・・「黄色いリボン」(49)のブリットルス大尉の役を直ぐ決定して・・・ジョーン・ドルー嬢も起用しましたね。
モンゴメリー・クリフトはこの作品でデビューして後にスターに成長していく。いずれにしてもこの作品は空前のヒットとなり・・・ハワード・ホークスは感謝の意をこめて主だった出演者に特注のバックルにイニシャルを刻んで送った。バックルにはラストシーン・・・ダンスンが砂の上に描いた「D//M」だった。ジョン・ウエインはその後の作品でこのバックルをつけて活躍していた・・・。
又、忘れられないのはデイムトリイ・テオムキンの音楽である・・・「駅馬車」(39)で有名になった「俺を寂しい草原に埋めないでくれ」がテス・ミレイとマット・ガースが霧の中で結ばれるシーンに使われていたし・・・これも有名な「ライフルと愛馬」がフル・オーケストレイションの力強い演奏が印象に残った。
冒頭、ダンスンの恋人フェンがインデアンに殺されたことが、後のダンスンが強靭で頑固な性格になったことと無縁ではないでしょうね。この清楚で美しいコーリン・グレイ嬢は・・・リチャード・ウイドマークと『死の接吻」(47)で共演していましたね。
コメント第一号はこれ位で・・・。(笑)
投稿: グリーンベイ | 2007年10月 7日 11:25