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2008年2月

2008年2月18日

見知らぬ人でなく

6 1955年 <アメリカ>

監督

スタンリー・クレイマー

出演

ロバート・ミッチャム

オリヴィア・デ・ハヴィランド

フランク・シナトラ

チャールズ・ビックフォード

グロリア・グレアム

ストーリー

幼少から医者に憧れていたルークは母の計らいでその道に進むことが出来だが、母の死後飲んだくれの父に学費を使い果たされ退学処分を受けそうになる。その頃、手術の見学を取り計らってくれた看護師クリスと親しくなり、彼女の友達の家へ親友アルと共に招かれた時、彼女が金持ちであることを知った。野心に駆られたルークはクリスと結婚する…。

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アル(フランク・シナトラ)、ルーク(ロバート・ミツチャム)、クリス(オリヴィア・デ・ハヴィランド)

ルークは勤勉な医学生だ。仲間からも一目置かれいる存在だ。

しかし、母親がルークのために貯金した金を全て父親が酒に変えてしまった。父親を責めても空しさしか残らないルーク…。彼は学費調達のため、奔走することになる。

           研究熱心なルーク

1_2

普段から何かと世話になっているアーロンズ教授に小額だが金を借りることが出来、なんとか退学までの期間を延ばすことが出来た。

そんな時、救いの天使が現れる。彼に密かに思いを寄せている看護師クリスである。クリスは何かとルークの願いを聞き入れてきた。そのクリスがアルとルークをパーティに誘った。2人は手術を見せてくれたお礼に出席する。

その席で、実はクリスは倹約家で貯金が3万4千ドルもあることをルークは知る。ルークの野心が頭をもたげた…。クリスは年上で決して美人とは言えない。しかし…金があり、自分に好意を寄せている。

早速ルークはクリスをデートに誘い、恋人になることに成功する。

ある日ルークはクリスにプロポーズするが、しかしとてもそんな状況ではないと告白する。“退学”になる。それでクリスには充分だった。自分が金を出すから、医者になってほしいと言い出す。何としてでも医者にさせる、と。

しかし、ルークがクリスと結婚するのは、金と引き換えの義務からだった…。

結婚もし、研修期間も終わり、ルークたちは「医者」になった。

ルークはグリーンヴィルという小さな町医者になる。

毎日が目まぐるしい忙しさだ。

その中でテキパキと患者をさばいていくランクルマン医師にルークは尊敬の念を抱いていく…。

専業主婦となったクリスは、ルークとの子供を希望しはじめる…。

ある夜、馬丁がケガをしたという電話がルークの許に入る。そこでラング夫人と会う。意識しあう2人…。何か運命的なものを感じた…。

昨夜のことは、ランクルマン医師にはもう届いていた。警告されるルーク。

そこに薬局のセールスマンがやって来る。最新式の聴診器を売りに来たのだ。

3

ルークはランクルマンの胸に聴診器を当てる…。沈黙が流れる…。

ランクルマンは聴診器を買うことにした。

ランクルマンは心臓病にかかっていた…。休養を進めるルークだが、ランクルマンは聞こうともしない。

手術…スナイダー医院長が参加するが、何も役に立たない男だった。

久しぶりの非番、ルーク夫妻とランクルマンは町のクラブで楽しんでいた。ラング夫人も偶然来ていた。楽しげに踊る2人。何かを感じ始めるクリス…。自然と酒のピッチが早くなる。

その夜、寝室でクリスは言った。「私たち、子供を作ってもいいころよ」と。しかし、ルークの返事はつれなかった。「まだ無理だ」と。

             ラング夫人(グロリア・グレアム)と

                                      恋に落ちるルーク

5そんな中、クリスの妊娠が発覚した…。しかしルークには言えない…。

ルークはそんなことは露知らず、いつの間にか頻繁に足が向いていたラング夫人とついに恋に落ちる…。

― いやはや、これは“珍品”中の“珍品”ですぞ。

なんてったって“マッチョ”なロバート・ミッチャム、“遊び人”のフランク・シナトラが懸命に人の命を救おうとする医者を熱演!!(その仲間に、リー・マーヴィンまでいる!)

そして、ロバート・ミッチャムと恋に落ちる謎めいた退屈なラング夫人に、グロリア・グレアム!!(出番は少ないものの、今回も強烈な印象を残しております。アンニュイなのね~)

そんな、どミスキャストの故なのか、映画が長い、長い。色んな要素を詰め込みすぎたのね。

ルークの退学問題から、クリスとの結婚。医者になり小さな町の医者になって希望に燃えたはいいが、勉強したような病気とは無縁だ。それなのに目の廻る忙しさ。

尊敬しているランクルマン医師は心臓病を患っていて、いつ倒れるかも分からない。医院長のスナイダーは役に立たない人物ときている。

そして最初の出会いから意識していたラング夫人との恋。望まないクリスの妊娠…。

    絶望のクリス…

8_2おまけに病院に腸チフスの患者が出て、クリスと2人で協力して患者を回復に導くが、「君は最高の看護師だ。子供が欲しいなんて言わないで、この病院で働かないか?」というルークの無神経な誘いにクリスは絶望する。クリスはラング夫人とルークの関係まで知ってしまった…。クリスはルークを家から追い出す。

そして、ついにランクルマン医師が倒れる…。

どうだ、「詰め込みすぎ」とはこういうことを言うのだ。

男性陣はミスキャストもいいところだが、女性陣はしっくりいってます。

クリス役のオリヴイア・デ・ハヴイランドは、何をやらせても上手い人だが、このクリス役は「女相続人」のバリエーションでしたね。看護師としての腕の良さが本物か?というほどリアルであった。

誘う女、ラング夫人。グロリア・グレアムは、もう居るだけでいいの。ちょうど熟した果実のように甘く誘う…。

要するにこの映画は、男性陣のミスキャストに笑い、女性陣の名演に酔うというよく分からない作品なのだ。

スタンリー・クレイマー監督は、「製作者」としては、素晴らしい作品を世に送り出している人なんですね。これが、製作・監督もかねた第一作目だそうです。

「製作者」としては、カーク・ダグラスが強烈な印象を残した「チャンピオン」、ホセ・ファラーがアカデミー主演男優賞を受けた「シラノ・ド・ベルジュラック」、アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」、ゲイリー・クーパーの「真昼の決闘」、ボギーの狂った演技が素晴らしかった「ケイン号の叛乱」などを世に出しているんですね。

その後、製作・監督としても、「手錠のままの脱獄」、「渚にて」、「ニュールンベルグ裁判」、「招かれざる客」など、結構社会派なんですな。

しかし、監督デビューは「製作」ほど簡単にはいかず、ですね。

かくしてこの作品は、彼のほろ苦い監督デビュー作となったわけです。

グロリア・グレアムが出ていなかったら、紹介しなかったかも知れない作品でもある…。

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2008年2月 6日

悪魔の往く町

11947年 <アメリカ>

監督

エドマンド・グールディング

出演

タイロン・パワー

コーリン・グレイ

ジョーン・ブロンデル

ヘレン・ウォーカー

ストーリー

スタントン・カーライルは職を転々としてきた男だが、ある時、見世物小屋に職を得る。偽読心術師のジーナとその夫でアルコール依存症のピートと組むことになった。しかし以前彼ら夫婦は暗号を使い一世を風靡したことがあると聞いたスタントンは、ジーナに2人で組むことを提案するが…。

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ジーナ(ジョーン・ブロンデル)に、組むことを提案するスタントン(タイロン・パワー)

このスタントン(以後、スタン)という男、口も上手い。客を呼ぶのにはちょうどいい男だ。

ジーナに暗号を使って2人で組むことを提案したが、夫のピートが絶対に教えないと言う。しかし、ピートはひどいアルコール依存症だった。ジーナは“暗号”を売って、彼を入院させたい考えだ。

2_2そこでスタンは再びジーナに提案する。この一座からの独立も持さない考えのスタン。ジーナは迷った。彼女は迷ったとき必ずタロットで占う。不吉なカードが出た。ピートが死ぬというものだ。ジーナはやめると言った。それを受けたスタンも表向きは、それならやめようと言う。しかし、ジーナにはお見通しだった。彼はやめる気など更々なかったのである。

ある夜、スタンは仲間から酒を買う。その時ピートがふらりと現れた。酒を道具箱に隠すスタン。ジーナに止められ誰も酒を飲ませてはくれない。禁断症状が出ていた。スタンは酒をピートに渡す。

しかしそれは、ジーナがショウで使うアルコールだった。

ピートは翌朝ジーナの占い通り亡くなってしまう。泣き崩れるジーナ。彼に渡す酒を間違えたとは決して言えないスタン…。

…そして2人は“暗号”を使いコンビを組み、次々と客を驚異の渦に巻き込む。

ある日、警察が「獣人」の扱いで苦情があったと小屋に立ち入ってきた。“暗号”を使い始めて更に口が立つようになったスタンが警官を軽くいなし、立ち去らせることに成功する。薄い衣装だと逮捕されそうだったモリーもこれには感謝した。

モリーはスタンが“暗号”を習得する間手伝っていたこともあり、2人の距離は急速に接近する。

  意識しあう、モリー(コーリン・グレイ)と、スタン

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しかし、それがモリーとコンビを組んでいた男とジーナの逆鱗にふれ、2人は結婚させられ、小屋を追い出される。失業か…と思っていたがスタンが気づく。“暗号”を使って“芸”ではなく、堂々と“読心術”をするのだ。こんな粗末な見世物小屋ではなく、一流の店で…。

12_2その客の中に、この奇術に興味を持った1人の女がいた。

ある日、その女に呼び出される。「心理カウンセラー」リリス・リッターだ。

彼女は患者の言葉をレコードに記録していた。それを知ったスタンはリリスとある取引をする…。

モリーがジーナを滞在先のホテルへ呼んでいた。仲直りするスタンとジーナ。だが、ジーナのタロット占いが始まるとスタンは動揺する。ピートと同じカードが出たのだ。仕事を変えるのは良くないと忠告されるが、怒ったスタンはジーナを追い出してしまう…。

ジーナのカードの宣告に恐れをなしたスタンは、リリスに助けを求める。一通り話し終え、平常心を取り戻したスタンは、リリスと立てた計画を実行する。「霊との交信」だ。

店で、ジーナの患者の老女を餌にし、亡くなった娘がここにいると言う。そしてトランス状態に陥る…。

町は、スタンの噂で持ちきりだった。果たして嘘か真か…。

スタンはリリスの手引きで、町の権力者グリンドルと会う。初めはグリンドルはスタンを脅した。しかし、リリスから得た情報をグリンドルに突きつける。すっかりグリンドルはスタンのことを信じてしまい、交霊所の建設費に15万ドルもはずんだ。ラジオ局までスタンのために買うと申し出た。ただし、条件つきで。35年前に亡くなった愛する女性の姿を見せてくれたら、というとこだった。金はリリスに預けた。

17 スタンはモリーを上手く丸め込んで、女性に変身させた。遠目なら分からない。

グリンドル邸の庭園で、再会は行われた。

しかし、良心の呵責に耐え切れず、モリーは正体を明かしてしまう。だまされたと悟ったグリンドルはスタンに詰め寄る。もみ合いになり、スタンはグリンドルを殴って気絶させ逃走した…。

モリーには荷造りし、駅で待つよう指示し、スタンはリリスの許へ向かった。

あと一歩だったのに…と悔しがるスタン。しかし今は逃げなければならない。リリスは預かっていた金をスタンに渡した。そして彼は駅に向かう…。

    スタンを気遣うリリス(ヘレン・ウォーカー)

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しかし、駅に向かう途中タクシーの中で金の入った封筒を開けると、1ドル札が150枚入っているだけだった…。してやられた。

リリスはスタンをも上回る金の亡者だったのだ…。

警察にも手配され、スタンには逃げ回るだけの人生が始まった…。

― 飽くなき金の欲望を描いた秀作です。

照明の当て方も、不安を煽る音楽も、「フィルム・ノワール」っぽいんですが、この作品はちよっと違う。犯罪は一切起こらない。

口八丁手八丁で生きてきた男が、あるきっかけが元でビッグチャンスに挑む。そして見事に成功。金持ちになる。しかし、その成功では飽き足らず、まだまだ金儲けを企む。それを支えるもう一人の同類の女…。

妻はもう耐えられずに、男から離れようとする。しかし、男に「今までは照れていえなかったけれど、心から愛している」と言われ、町の権力者の以前愛した女にされてしまう。しかし、良心の呵責に耐え切れず正体を明かす…。何もかも崩れ去った瞬間…。

男と同類の女は、更に上をいっていた。彼の金をピンはねしたのだ。詰め寄る男…。しかし、心理カウンセラーをしているこの女、男を精神が病んでいるとして病院送りにしようとする。おまけに警察まで呼んでいた…。

男は妻を安全な所まで逃がし、自分も逃げる人生の始まりだ。食事が喉を通らない。3日間何も食べなかった。そこで、酒を飲む…。そうして男は転落の一途をたどる…。最後は哀れなまでのうらぶれっぷりだ。

タイロン・パワーといえば、「天下の二枚目」、映画は弱きを助け悪をくじく「怪傑ゾロ」のイメージが強いが、このどうしようもない男スタンを熱演である。最後には顔の相まで違っているからたいしたもんだ。

意外と彼は胡散臭い役も上手いのではないか。「情婦」などもそうだった。「血と砂」では、敬虔なリンダ・ダーネルがいながら、色気のリタ・ヘイワースになびいた。「日はまた昇る」では、不能の男を演じている。意外と演技の幅が広いではないか。ただの二枚目俳優ではないのかも。ジョン・フォード監督の「長い灰色の線」も名演であった。

また、30年代、ワーナー・ブラザーズでギャング映画やミュージカル映画で活躍したジョーン・ブロンデルが熟女(ジーナ)となって戻ってきたのもうれしい。

タイロン・パワーの妻役のコーリン・グレイはおとなしく、あまり“華”がないのが悔やまれる。しかし、夫に耐えつつ付いていく妻…という役割では適役かも。

心理カウンセラー、リリス・リッターを演じたヘレン・ウォーカーは、冷たい感じの美女ですね。悪女にはぴったりという感じだ。

しかし、この作品は日本未公開なんだそうで。何故に?

人間の飽くなき欲望を、これでもかと描いた意欲作なのに、タイロン・パワーが熱演なのに…。アメリカでは評価が高い作品なのに…。(「フィルム・ノワール」のジャンルに入ってますが…)

このような秀作が日本の観客の前で上映されなかったとは、つくづく残念である…。(WOWOWさん、ありがとう。)

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2008年2月 4日

男と女

2_2 1966年 <フランス>

監督

クロード・ルルーシュ

出演

アヌーク・エーメ

ジャン・ルイ・

   トランティニャン

ピエール・バルー

ストーリー

映画のスクリプト係をしているアンヌはパリ暮らし。娘はドービルにある寄宿舎にあずけている。日曜日、いつも楽しみにしている娘の面会で、つい長居してしまいパリ行きの汽車に乗り遅れる。そんなアンヌを車で送ってくれたのは、カー・レーサーのジャン・ルイ。彼も息子を寄宿舎へ訪ねた帰りだった…。

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アンヌ(アヌーク・エーメ)と、ジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)初めての出会い

ジャン・ルイに「ご主人の仕事は?」と聞かれ、アンヌは喋り始めた。夫は映画のスタントマン。そして自分と夫の間には、特別な愛があるという。情熱的でかけがえのない愛。完璧な愛が…。しかし、夫は撮影中の事故で亡くなっていた…。

アンヌのアパートに着いた。ジャン・ルイは来週よかったら一緒にドービルへと誘う。アンヌは行けるかどうか分からないといいながらも、ジャン・ルイに電話番号を告げた。そして別れる二人…。

レーシング・カーのテスト中、ジャン・ルイはアンヌに電話を掛ける。明日、息子へ会いに行くので一緒に、と。良い返事がもらえた。二人は一緒にドービルへ向かう。

5_2子供たちをまじえての楽しいひと時。二人は急速に接近していく…。

帰路の車の中で、ジャン・ルイがアンヌの手を握る…。冷たい表情のアンヌ…。奥様の話をして、と言う。

ジャン・ルイの妻は、彼がレースで重体に陥ったとき、精神の均衡を欠き自殺していた…。

冷たい雨…。アンヌは動揺していた。彼女のアパートに着いたとき、ふと、ジャン・ルイが「モンテカルロ・ラリーに出場する。…終わったら電話する」と言う。そして二人は別れた…。

…ジャン・ルイのアパート。女がベッドに横たわっている。深い付き合いの女だったが、ジャン・ルイは女との関係を清算した。

12モンテカルロ・ラリーが始まる。アンヌは気が気でない。新聞や雑誌で逐一経過を確かめる。

映画を撮影していても、街を歩いていても、心はジャン・ルイの許へ飛ぶ…。

ジャン・ルイの乗った車が優勝する。早速モンテカルロへ電報を打つアンヌ。「愛しています」と。

それに応えるジャン・ルイ。モンテカルロからパリへ、そしてドービルへ車を駆る。

再会し、待ちきれなく肌を合わせる二人…。しかし、アンヌの脳裏に浮かぶのは夫のことばかりだった…。

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― ほろ苦い大人の恋愛物語。

つらい過去を背負った男女がふと出会い、惹かれあい、そして結ばれる。しかし、女は夫のことを今でも深く愛していた…。男と肌を合わせれば合わせるほど、深くなるその思い…複雑である。

あんなにも惹かれあって、愛していると思ったのに、ジャン・ルイが「何故だ?」「何故だ?」と繰り返し言うのも強く分かる。

別れ際にジャン・ルイが、「なぜ、夫の死のことを話した?」と聞く。アンヌは「私の中では夫は死んでいないわ」と言う。ベッドを共にする前に気づけよ、アンヌ!ってなところではあるが、「恋愛」はつらい事を忘れさせ、フットワークを軽くする。

二人の恋の喜びは、見ていてこちらも楽しくなってくる。「愛してる」という電報に、電光石火でアンヌの許へ駆けつけるジャン・ルイ。モンテカルロ・ラリーの間、気が気でないが、街を歩いても公園を散歩しても、微笑がもれるアンヌ…。

しかし、夫との回想は常に空は青かったが、ドービルは雨ばかりなのである…。

アンヌの許へ駆けつけるジャン・ルイの妄想がなんともいい。彼は妄想好きですね。「彼女は今寝ているだろうから、ビストロから電話しよう…」「いや、アパートを訪ねよう。愛を告白してくれた女だ」…等々。アンヌと別れてから、彼女の夫のことも妄想している。「おそらく一風変わった亭主だったのだろう」「イカレタ奴だったに違いない」…等々。1人で運転しているときは、ずっと妄想している。(私は車の免許を持っていないのでよく分からないのだが、皆そうなのか?)

あまたの恋愛映画は女が妄想してきたけど、この作品では男が妄想する珍しい映画でもありますね。

そして、フランシス・レイの音楽が良い。「ダバダバダ~」だけじゃない。アンヌの夫役のピエール・バルーが作詞した深く心に染み入る歌が、実に良いタイミングで入る。

カメラワークも編集も、今観ても斬新だ。

実はこの映画、20年後に続編が作られているのだが(「男と女Ⅱ」)、私は観たくない。

なんともやるせないラストシーンの余韻にどっぷり浸りたいからである…。

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