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2008年2月 6日

悪魔の往く町

11947年 <アメリカ>

監督

エドマンド・グールディング

出演

タイロン・パワー

コーリン・グレイ

ジョーン・ブロンデル

ヘレン・ウォーカー

ストーリー

スタントン・カーライルは職を転々としてきた男だが、ある時、見世物小屋に職を得る。偽読心術師のジーナとその夫でアルコール依存症のピートと組むことになった。しかし以前彼ら夫婦は暗号を使い一世を風靡したことがあると聞いたスタントンは、ジーナに2人で組むことを提案するが…。

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ジーナ(ジョーン・ブロンデル)に、組むことを提案するスタントン(タイロン・パワー)

このスタントン(以後、スタン)という男、口も上手い。客を呼ぶのにはちょうどいい男だ。

ジーナに暗号を使って2人で組むことを提案したが、夫のピートが絶対に教えないと言う。しかし、ピートはひどいアルコール依存症だった。ジーナは“暗号”を売って、彼を入院させたい考えだ。

2_2そこでスタンは再びジーナに提案する。この一座からの独立も持さない考えのスタン。ジーナは迷った。彼女は迷ったとき必ずタロットで占う。不吉なカードが出た。ピートが死ぬというものだ。ジーナはやめると言った。それを受けたスタンも表向きは、それならやめようと言う。しかし、ジーナにはお見通しだった。彼はやめる気など更々なかったのである。

ある夜、スタンは仲間から酒を買う。その時ピートがふらりと現れた。酒を道具箱に隠すスタン。ジーナに止められ誰も酒を飲ませてはくれない。禁断症状が出ていた。スタンは酒をピートに渡す。

しかしそれは、ジーナがショウで使うアルコールだった。

ピートは翌朝ジーナの占い通り亡くなってしまう。泣き崩れるジーナ。彼に渡す酒を間違えたとは決して言えないスタン…。

…そして2人は“暗号”を使いコンビを組み、次々と客を驚異の渦に巻き込む。

ある日、警察が「獣人」の扱いで苦情があったと小屋に立ち入ってきた。“暗号”を使い始めて更に口が立つようになったスタンが警官を軽くいなし、立ち去らせることに成功する。薄い衣装だと逮捕されそうだったモリーもこれには感謝した。

モリーはスタンが“暗号”を習得する間手伝っていたこともあり、2人の距離は急速に接近する。

  意識しあう、モリー(コーリン・グレイ)と、スタン

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しかし、それがモリーとコンビを組んでいた男とジーナの逆鱗にふれ、2人は結婚させられ、小屋を追い出される。失業か…と思っていたがスタンが気づく。“暗号”を使って“芸”ではなく、堂々と“読心術”をするのだ。こんな粗末な見世物小屋ではなく、一流の店で…。

12_2その客の中に、この奇術に興味を持った1人の女がいた。

ある日、その女に呼び出される。「心理カウンセラー」リリス・リッターだ。

彼女は患者の言葉をレコードに記録していた。それを知ったスタンはリリスとある取引をする…。

モリーがジーナを滞在先のホテルへ呼んでいた。仲直りするスタンとジーナ。だが、ジーナのタロット占いが始まるとスタンは動揺する。ピートと同じカードが出たのだ。仕事を変えるのは良くないと忠告されるが、怒ったスタンはジーナを追い出してしまう…。

ジーナのカードの宣告に恐れをなしたスタンは、リリスに助けを求める。一通り話し終え、平常心を取り戻したスタンは、リリスと立てた計画を実行する。「霊との交信」だ。

店で、ジーナの患者の老女を餌にし、亡くなった娘がここにいると言う。そしてトランス状態に陥る…。

町は、スタンの噂で持ちきりだった。果たして嘘か真か…。

スタンはリリスの手引きで、町の権力者グリンドルと会う。初めはグリンドルはスタンを脅した。しかし、リリスから得た情報をグリンドルに突きつける。すっかりグリンドルはスタンのことを信じてしまい、交霊所の建設費に15万ドルもはずんだ。ラジオ局までスタンのために買うと申し出た。ただし、条件つきで。35年前に亡くなった愛する女性の姿を見せてくれたら、というとこだった。金はリリスに預けた。

17 スタンはモリーを上手く丸め込んで、女性に変身させた。遠目なら分からない。

グリンドル邸の庭園で、再会は行われた。

しかし、良心の呵責に耐え切れず、モリーは正体を明かしてしまう。だまされたと悟ったグリンドルはスタンに詰め寄る。もみ合いになり、スタンはグリンドルを殴って気絶させ逃走した…。

モリーには荷造りし、駅で待つよう指示し、スタンはリリスの許へ向かった。

あと一歩だったのに…と悔しがるスタン。しかし今は逃げなければならない。リリスは預かっていた金をスタンに渡した。そして彼は駅に向かう…。

    スタンを気遣うリリス(ヘレン・ウォーカー)

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しかし、駅に向かう途中タクシーの中で金の入った封筒を開けると、1ドル札が150枚入っているだけだった…。してやられた。

リリスはスタンをも上回る金の亡者だったのだ…。

警察にも手配され、スタンには逃げ回るだけの人生が始まった…。

― 飽くなき金の欲望を描いた秀作です。

照明の当て方も、不安を煽る音楽も、「フィルム・ノワール」っぽいんですが、この作品はちよっと違う。犯罪は一切起こらない。

口八丁手八丁で生きてきた男が、あるきっかけが元でビッグチャンスに挑む。そして見事に成功。金持ちになる。しかし、その成功では飽き足らず、まだまだ金儲けを企む。それを支えるもう一人の同類の女…。

妻はもう耐えられずに、男から離れようとする。しかし、男に「今までは照れていえなかったけれど、心から愛している」と言われ、町の権力者の以前愛した女にされてしまう。しかし、良心の呵責に耐え切れず正体を明かす…。何もかも崩れ去った瞬間…。

男と同類の女は、更に上をいっていた。彼の金をピンはねしたのだ。詰め寄る男…。しかし、心理カウンセラーをしているこの女、男を精神が病んでいるとして病院送りにしようとする。おまけに警察まで呼んでいた…。

男は妻を安全な所まで逃がし、自分も逃げる人生の始まりだ。食事が喉を通らない。3日間何も食べなかった。そこで、酒を飲む…。そうして男は転落の一途をたどる…。最後は哀れなまでのうらぶれっぷりだ。

タイロン・パワーといえば、「天下の二枚目」、映画は弱きを助け悪をくじく「怪傑ゾロ」のイメージが強いが、このどうしようもない男スタンを熱演である。最後には顔の相まで違っているからたいしたもんだ。

意外と彼は胡散臭い役も上手いのではないか。「情婦」などもそうだった。「血と砂」では、敬虔なリンダ・ダーネルがいながら、色気のリタ・ヘイワースになびいた。「日はまた昇る」では、不能の男を演じている。意外と演技の幅が広いではないか。ただの二枚目俳優ではないのかも。ジョン・フォード監督の「長い灰色の線」も名演であった。

また、30年代、ワーナー・ブラザーズでギャング映画やミュージカル映画で活躍したジョーン・ブロンデルが熟女(ジーナ)となって戻ってきたのもうれしい。

タイロン・パワーの妻役のコーリン・グレイはおとなしく、あまり“華”がないのが悔やまれる。しかし、夫に耐えつつ付いていく妻…という役割では適役かも。

心理カウンセラー、リリス・リッターを演じたヘレン・ウォーカーは、冷たい感じの美女ですね。悪女にはぴったりという感じだ。

しかし、この作品は日本未公開なんだそうで。何故に?

人間の飽くなき欲望を、これでもかと描いた意欲作なのに、タイロン・パワーが熱演なのに…。アメリカでは評価が高い作品なのに…。(「フィルム・ノワール」のジャンルに入ってますが…)

このような秀作が日本の観客の前で上映されなかったとは、つくづく残念である…。(WOWOWさん、ありがとう。)

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コメント

>グリーンベイさん
ノワール映画ファンとしては、この作品は実に良く出来ているんですよ、本当に。
しかし、タイロン・パワーが「悪」を演じたのがいけなかったのですか…。
ん~…彼は晩年に「情婦」に出演していますがね…。これは最後に彼の姿が暴かれるから良かったのかな?監督がビリー・ワイルダーだし。
しかし、ジャン・ギャバンやジョージ・ラフト、リチャード・ウィドマークが悪の道に落ちていく…。これは普通すぎる。あえてタイロン・パワーが演じるたことに意義があるんですよねぇ…。
だけど日本のファンには、タイロン・パワーは天下の二枚目スターですからね。
日本は“悪玉”を演じるスターは人気が上がりにくい土壌なんでしょうか?。
(ボギーは悪役から出発しましたが、スターになったのは「マルタの鷹」ですし、フランスの俳優はどちらでも自在に出来ますから、この2つは置いといて…)
ギャング役を得意としたジェームズ・キャグニーなんかどうだったんでしょうか?
彼はアメリカでは非常に人気がありすが…。

コーリン・グレイ嬢…「赤い河」で冒頭、ジョン・ウェインにすがりつく女性でしたか。すぐ消えてしまうので気づきませんでした(笑)
慎ましやかな女優さんですね。
そして、グリーンベイさんのタイプの女性とは!
すると、奥様もコーリン・グレイ嬢のような方なんでしょうね…。

投稿: オショーネシー | 2008年2月 7日 23:49

 オショーネシーさん・・・今晩は。
うーーーん。・・・<人間の飽くなき欲望を、これでもかと描いた意欲作なのに。タイロン・パワーが熱演なのに・・・。アメリカでは評価が高い作品なのに・・・>。
でも、この作品は輸入されなかった・・・うーーーん。その理由は映画少年には分かりますよ。
タイロン・パワーが悪玉ではね。彼は西部劇「地獄への道」(39)「狙われた駅馬車」(51)とか「海の征服者」(42)「怪傑ゾロ」(40)で活劇ものの善玉を演じてきたし・・・「愛情物語」(56)ではキム・ノバック嬢を相手にメロ・ドラマの傑作を残し映画フアンに親しまれてきた・・・。
オショーネシーさんが・・・この作品が日本未公開だなんて・・・何故に?・・・悔しい思いは良く分かります・・・。
何時も指摘しているところですが・・・このジャンルの作品は、筋立てが良くても・・・。日本の映画フアンには地味すぎるんです・・・。
ジャン・ギャバン、ボギー、ジョージ・ラフト、ウイドマークとか強烈なスターが要るんですね・・・女優もしかり。
コーリン・ゲレイ嬢では仕方がない・・・「赤い河」(48)ではトム・ダンスンの恋人役を「死の接吻」(47)ではビクター・マアチュアの慎ましい奥さんを・・・小柄なクール美人ですね。実は、映画少年のタイプなんです!!!(笑)

投稿: グリーンベイ | 2008年2月 7日 20:29

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