リチャード・ウィドマークさん死去
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
監督 F・ゲイリー・グレイ
出演
サミュエル・L・ジャクソン
ケヴィン・スペイシー
J・T・ウォルシュ
ロン・リフキン
ストーリー
シカゴ警察のトップ人質交渉人ローマンは相棒のネイサンから警察の年金基金が何者かに盗まれ、内務捜査局の人間が関わっているらしいと聞かされる。呼び出された約束の場所に行くと、ネイサンは殺されていた。そしてローマンが殺人と年金基金横領の犯人にされてしまう…。
ローマン(サミュエル・L・ジャクソン)とニーバウム(J・T・ウォルシュ)
ローマンは基金委員だったため、疑われた。突然警察と内務捜査局が家宅捜査にやってくる。ローマンはやって来た内務捜査局のニーバウムが一枚かんでいると睨んでいたが、家からローマンに不利な書類が見つかる…。
俺は何も知らない、やっていないと訴えるローマンだったが、まんまと何者かにはめられてしまった。彼は今や殺人者で横領者だった。
そこで彼は妻カレンとの平穏な生活取り戻し、ネイサンを殺し年金基金を横領した犯人を挙げるため大胆な行動に出る。連邦政府ビルの20階にある内務捜査局に乗り込み、ニーバウムとその場に居合わせた秘書のマギー、タレこみ屋のルディ、そして無線を聞きつけてやって来た同僚のフロストを人質に取り、局に籠城した…。
警察に激震が走る。マスコミが押し寄せる。早速作戦本部が作られ、大がかりな態勢が敷かれる。FBIまでもがやって来る。しかし、ローマンもプロ中のプロだ。警察が入り込めないようにするのは簡単なことだ。そして、外からは完全に謝絶した空間が出来上がった。
電話が鳴る…。同僚の交渉人からだ。しかし、ローマンは交渉人を指定した。「クリス・セイビアン」だと。西地区のトップ交渉人だ。彼が20分以内に来なければ人質は殺される…。
交渉人、セイビアン
(ケヴィン・スペイシー)
セイビアンがようやく到着する。何故自分が指名されたのかローマンに聞くが、理由があるのでそれは後だと言われた。
2人は何気ない話から入った。ローマンは休日は何をしているかと聞く。セイビアンは家庭的な男で、普段は家族サービスか、古い映画を観る。西部劇が好きだ。
ローマンはコメディの方が好きだが、「シェーン」は好きだと言う。セイビアンは、「シェーン」は名作だが主人公が死なない映画の方が好きだという。「リオ・ブラボー」に「赤い河」…。
ローマンは「シェーン」は死んでいないと言うが、セイビアンは譲らない。シェーンはラストに振り向かない。馬の上で死んでいるからだ、と…。
そして、交渉に入った。ローマンの要求は、1・警察バッチを返せ。2・死んだら署葬にする。3・内偵者を探せ。無実を証明して陰謀を暴く証人を…。4・ネイサン殺人の犯人を探せ。…8時間以内に探し出さないと、1時間に1人が死ぬことになる。5・今すぐ話したい。というものだ。
セイビアンは早速行動に出る。彼は単独で内務捜査局へ行き、ローマンと相まみえた。
何故自分を交渉人に選んだのか聞いた。
ローマンは、「正気だと分からせたくて。無実を証明したい。」と言った。
そして交渉は続く…。
「では聞こう。何をさせたい?」と、セイビアン。
ローマンは、「相棒が署員の中に横領犯がいると…。オレの知っている人間だと言った。友人に背かれたら、信用出来るのは他人…。」
その時、突然窓から部隊が突入してきた。割れる窓ガラス、混乱…。交渉は途切れてしまった。狙撃隊からはローマンは格好の標的になったが、同僚の彼を撃てなかった…。そして突入してきた2人は、ローマンの人質になってしまった…。
司令部に戻ってきたセイビアンは、怒り心頭だ。「誰が司令官なんだ!!」と怒鳴る。警察が、セイビアンがローマンの気を引いている隙に作戦を実行したのだった。
「君は司令官ではない」と言われるが、セイビアンは「私の指令なら全員無事に救出来る」と言い切る。しばらくセイビアンと警察の小競り合いがあった後、指揮はセイビアンに委ねられることになった…。
セイビアンは送電を停止した。
…ついに秘書のマギーが口を割った。ニーバウムのパソコンに個人ファイルがあるという。
再びセイビアンはローマンの許へ向かった。…交渉再開。送電再開だ。人質の食事と毛布も…。そして、まずフロストが解放された。
解放されるフロスト(ロン・リフキン)
タレこみ屋のルディはパソコン犯罪の専門でもあった。彼がニーバウムのパソコンを開く。
ローマンは、障害基金の関連を全て検索させた。すると、警官のバッヂの番号が出てくる。ネイサンの番号をローマンは見つけた。彼の会話は盗聴されていた…。
ネイサンは殺される前夜、内偵者に会うと言っていた。…おかしい。何故その男を探さないのか?口を封じたいはずだ。…ニーバウムは内偵者を知らないのか?
ローマンはセイビアンに電話を掛け、2人きりで話したいと言い、要求は通った。殺される前ネイサンがどこで誰と会ったか、彼の妻と話してくれと。セイビアン1人で、と。
…セイビアンが内偵者を連れて来た。しかし、ローマンに嘘がばれてしまう。そして、パソコンの画面には“内務捜査局の内偵者、ネイサン”と出ていた…。ニーバウムは横領者に買収されていた。ネイサンは買収を拒んで殺されたのだった。
セイビアンの作戦は失敗した…。
…ニーバウムは横領者の名前を吐くのか?横領者は誰なのか?それを解き明かそうとするローマンの執念。
― これはなかなか緊張感のあるエンターテイメント+サスペンスの良作ですねぇ。
「ユージュアル・サスペクツ」のケヴィン・スペイシーがあまりにも良かったので、思いかけず観てしまった作品だったのですが、こちらのテキパキとしたケヴィン・スペイシーも良い。
もちろん、サミュエル・L・ジャクソンも熱演です。彼も良くなきゃ作品が台無しになる。
犯罪者にでっちあげられた男が命懸けで、無実の罪を晴らそうとする。その方法は、自分がいつも対じしていた籠城者になり、赤の他人の交渉人を呼ぶことにあった。そして、指名された交渉人は彼の言葉を信じ、要求を果たすことが出来るのか?
トップ交渉人同士の高度な駆け引き。赤の他人の指揮官を信じられず勝手な行動に出る警察。警察とFBIのしがらみ…。
これらが渾然一体となって、最後までストーリーをグイグイ推し進めていくパワーは見どころ満載ですね。
脇役も良い味出してます。特に偉人の格言をよく口にするタレこみ屋のルディ(ポール・ジアマッティ)は大活躍でした。
ローマンとセイビアンが初めに話した西部劇の話は、ラストにジャブのごとく効いてくるんですよ。これは必見。
日本では馴染みのない「交渉人」という仕事をよく理解出来る作品でもある。
ただ、2時間20分はちょっと冗長という感想。スローモーションの多用など、思わせぷりで余計だと思う演出も目立った。もう少し短く出来たはずの作品だとも思いました。
| 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)
監督 ブライアン・シンガー
出演 ガブリエル・バーン/ケヴィン・スペイシー/スティーヴン・ボールドウィン/チャズ・パルミンテリ/ケヴィン・ポラック/ベニチオ・デル・トロ/スージー・エイミス/ピート・ポスルスウェイト
ストーリー
ある夜、カルフォルニアのサン・ペドロ埠頭で船が大爆発。コカイン取引現場からブツを奪おうとした一味と組織の争いが原因らしい。27人が死亡。9100万ドルが消えた。生き残ったのは2人。しかも1人は重傷で、関税特別捜査官のクイヤンはただ1人無傷で生き残った男、ヴァーヴァル・キントを尋問するが…。
惨事のすべての始まり
ホックニー(ケヴィン・ポラック)マクマナス(スティーヴン・ボールドウィン)、フェンスター(ベニチオ・デル・トロ)、ディーン・キートン(カブリエル・バーン)、ヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)
…昨日。カリフォルニア州、サン・ペドロ埠頭、ある船上。1人の男がマッチからタバコに火をつける。いっそこのまま船を爆破しようとマッチを床に落とすが、ある男の小便で消されてしまう。
男が、「やぁ、キートン」と、男の名を呼ぶ。「脚の感覚がないよ…カイザー」と、男が答える。「覚悟は?」と「カイザー」という名の男が「キートン」に聞いた。「何時だ?」「12時30分」…「キートン」は頷き覚悟を決めた。その後に銃声が2発響いた。
そして「カイザー」は、吸っていたタバコを落とし、船に火をつけ船を下りた。その後船は大爆発する…。
―発端は6週間前のN・Y。銃を積んだトラックのハイジャックだ。運転手は犯人たちの顔は見ず、声を聞いた。そして、5人が警察で面通しされる。犯罪歴がある連中ばかりだ。
キートンとキント
マクマナスは忍び込みのプロ、彼と組んでいるフェンスター、ホックニーは爆破のプロ、キートンは警察が一番目を付けていた元汚職警官、キントは身障者でケチな詐欺師だ。
確固たる証拠はなく拘留所へぶち込まれた5人。警察への憎悪が、ある計画へと向かわせる…。
…現在。ただ1人無傷の生き残りの男、ヴァーバル・キントがロサンゼルスの警察でクイヤンに尋問を受けていた。面通しの後の話だ。
釈放後、キートンは嫌がったが、計画は南米の運び屋がエメラルドを持って入国するが、それを強奪するというものだ。強奪の計画はキントが立てた。殺しは無しの作戦だ。ついにキートンも折れて計画に参加することになる。
計画は成功。5人はロサンジェルスへ向かった…。
…病院。瀕死の重傷のもう1人が話し始めた。
保護してくれ、と。“悪魔”と目が合った。“悪魔”に殺されると。その“悪魔”の名は、「カイザー・ソゼ」だ。彼の顔を見たと言う。そこから「カイザー・ソゼ」の似顔絵が作られることになった…。
ロスで5人は「レッドフット」に会い、エメラルドを売る。そこでレッドフットは5人においしいヤマがあると誘う。
テキサスの宝石商がロスのホテルに泊まっている。彼は宝石の鑑定をしているので現金を大量に持ち歩いている。その男を5人が襲い、宝石はレッドフットに、現金は5人で山分けに、という訳だ。
5人は宝石商を襲う。しかし今回は抵抗が激しく、殺してしまう。そして宝石が入っているはずのアタッシュケースには、コカインが入っているだけだった…。
レッドフットに会い、キートンが何故こんなヤマを持ってきたのか詰め寄った。レッドフットもある弁護士から紹介されたヤマだという。その弁護士に会いたいとキートンが言うと、弁護士も5人に会いたいという…。
…病院から戻ってきたFBIのジャックはクイヤンに今しがたあった出来事を話した。瀕死の重傷の男はアルゼンチンとつながりのあるハンガリーの組織の男で、船にヤクは積んでいなかった。ロスが目的地ではなく、トルコに寄る前に寄港しただけだった。そして、「カイザー・ソゼ」だ。
クイヤンはキントに、「カイザー・ソゼ」の名を聞いた。キントは動揺したが、話し出した…。
弁護士が5人に会いに来た。名前は「コバヤシ」という。英国紳士風な男だ。その「コバヤシ」が、雇い主「カイザー・ソゼ」が5人に仕事を依頼してきたという。
「カイザー・ソゼ」の名前にキント以外の4人は素早く反応した。硬くなる4人…。
今回は依頼というより命令だという。5人はそれぞれが「カイザー・ソゼ」の持ち物だと知らずに金や物を強奪していたのだ。あの警察での面通しは、「カイザー・ソゼ」と「コバヤシ」がお膳立てしたのだった。
「コバヤシ」は話の要点を話し始めた。
「カイザー・ソゼ」の重要な取引はヤクだ。数年前からの競争相手はアルゼンチンの組織である。だが彼らは押され気味で、勢力挽回を図って3日後に9100万ドルのブツを売りに来る。この取引を阻止してもらいたいというのだ。成功すれば9100万ドルは5人のものになる。
5人は、「カイザー・ソゼ」から逃げられなかった。宝石商殺し、そして脅しの資料が「コバヤシ」から渡された…。
話を聞くクイヤン(チャズ・パズミンテリ)
トルコ時代、ハンガリーの組織が暗黒街を牛耳ろうとした。彼らにしてみれば、ヤクの売人だったソゼが邪魔だった。彼らはソゼの家を襲った。彼は留守で妻と子供がいた。ソゼが帰宅すると、レイプされた妻と泣き叫ぶ子供たち。子供を殺しながら「縄張りを渡せ」とソゼを脅した。するとソゼは家族を銃で撃ち殺したのだ。彼は言った。「いっそ殺す方が妻と子供の救いになる」と。
襲った奴の妻子と両親、その友達を殺し、彼らの家と彼らが働いていた店を焼き、彼らに金を借りてた奴まで殺して、そして地下に潜って姿を消し、伝説となった。…と。
キートンは言っていた。「神は信じないが、神が怖い」と。俺は神を信じる。だが、怖いのは「カイザー・ソゼ」だ、とキントは言った。
…クイヤンは、検察側の証人になれと言う。キントは断る。今度はキントに保護を申し出た。するとキントは、「カイザー・ソゼの尻尾を掴む?あいつがお前らの罠にはまると思うのか?俺を殺ったら、アッという間に姿を消してそれっきりさ」と、捨て鉢に言った…。
クイヤンに話の続きを促され、キントはまた話し始めた。
フェンスターが“幸運を”というメモを残し、金を持ち逃げした。するとその夜「コバヤシ」からフェンスターの居場所を知らされた。
フェンスターは殺され、浜辺の洞窟に捨てられていた。キートンは「コバヤシ」の言いなりにはならないと言った。彼は「コバヤシ」を殺すと決めたのだ。
銃を突きつけられる「コバヤシ」
(ピート・ポスルウェイト)
しかし、「コバヤシ」のほうが一枚上手だった。彼はキートンの恋人の刑事弁護士イーディを抱きこんでいた…。
「カイザー・ソゼ」の仕事を請けるしかなかった…。
船は鉄壁だった。ここからどうやってコカインを焼き、9100万ドルの金を持って帰れるというのか?船に乗り込んだら生きては戻れない。
夜が来た。ハンガリー人の男たちが次々に船へと向かっていく。金も届いた。
物陰に隠れていたキートンとキント。キートンはキントに、「ここに残れ」と言った。生き残ったら金を持って逃げろと。イーディに全て話せば彼女が「コバヤシ」を葬ってくれる、と。
そしてキートンは船へ向かって歩き出した…。
キントを除いた3人は作戦実行に出た。キントはその場にうずくまったままだった…。
クイヤンは、「逃げられただろう?」と尋ねた。「動けなかった。フェンスターの死に顔が…。それに計画は成功しつつあった」と、キントは答えた。
…港で頭を撃たれた男の溺死体が上がった。アルトゥーロ・マルケス。アルゼンチンの麻薬業者だ。N・Yで挙げられ脱走してカルフォルニアへ。逮捕され本国送還の手続き中また逃走。その手続きをしていたのが、キートンの恋人イーディだった。
彼は密告屋で、リストの中には「カイザー・ソゼ」の名があった…。
ハンガリー人の言ったとおり、船にヤクは無かった。ヤクの代わりにアルトゥーロ・マルケスがハンガリーの組織に売られたのだった。
「カイザー・ソゼ」は、アルトゥーロ・マルケスを葬り去るために、5人を雇いこの船を選んだのだ…。
全てが終わった後、船に火を落とし、「カイザー・ソゼ」は去った。そして船は大爆発を起こし、証拠は消えた。…キントを残して。
マルケスの手続きをしていた、キートンの恋人イーディも昨日ホテルで殺されていた。その残忍さは「カイザー・ソゼ」そのものだ。
そんなことを出来るのは、かつて一度死んだ前科があり、血も涙も情けもなかった汚職警官キートンしかいない。
…アルトゥーロ・マルケスとイーディの件で、クイヤンは事件の黒幕は、「カイザー・ソゼ」と言う名の「ディーン・キートン」だと推理した…。
― いやぁ…これは、なんと緻密に練られた脚本に拍手ですよ。この“だまし”のテクニックがいかに凄いか!!
我々は、「ディーン・キートン」が「カイザー・ソゼ」ではない事を知っている訳ですね。消去法でいくと、彼しか「カイザー・ソゼ」に行きあらないのは薄々気づいている。
しかし、気づかせながらも脚本のパワーは落ちるどころか、ぐんぐん加速していく。心地よいほどに。
ヴァーバル・キントの細に入った話しぶり。彼の気弱ぶりが、この映画を更に面白くしています。クイヤンに、「カイザー・ソゼ」は「キートン」だと暴かれたときは泣いちゃうしね。とにかくヴァーバル・キントは気弱で半身が不自由な、都会の底辺で生きているケチな詐欺師なんですよ。
そんな彼だからこそ、「キートン」=「カイザー・ソゼ」は情けをかけたとクイヤンは推理した。
本当の「カイザー・ソゼ」には“慈悲”の心はない。自分のものを奪えばどんな男でも。雇われた5(?)人も殺される運命にあったのは明確だ。
キントが出所した後、今まで彼を尋問していた部屋で、「キートンの正体が判った」と悦に入っていたクイヤンは、壁に掛かっているボードを見て愕然とする。色々なチラシや紙が張ってある…。
そして、ファックスで「カイザー・ソゼ」の似顔絵が送られてきたときにはもう遅いのだ。
彼は、「アッという間に姿を消して、それっきりさ…」
これはもう、ただただヴァーバル・キントの荒唐無稽とも思われる話術に翻弄され、酔うしかないのである。
第68回アカデミー、オリジナル脚本賞、助演男優賞(ケヴイン・スペイシー)は当然の結果である。
| 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)
監督
ウイリアム・K・ハワード
出演
スペンサー・トレイシー
コリーン・ムーア
ラルフ・モーガン
ヘレン・ヴィンソン
ストーリー
トム・ガーナーは片田舎の貧家に生まれ、小学教育も受けずに成長した。読み書き算数の出来ない彼は鉄道の保線係として人生のスタートを切った。トムは村の小学校の教師サリーに、読み書き算術を習うよになる。いつしか2人は恋に落ち結婚した。かくして2人は二人三脚で出世の道を歩むことになるが…。
※ ネタバレです。
幸せなサリー(コリーン・ムーア)と、トム(スペンサー・トレイシー)
1人の男が自殺した。鉄道会社の社長、トム・ガーナーの葬儀の日。1人の男はいたたまれずに席を立った…。
家に戻り妻が入れたコーヒーを飲む。妻は夫が持ち帰ってきた写真を見て、「彼なら自殺して当然よ」と強い口調で言うのをたしなめた。その男はトムの幼馴染で秘書のヘンリーだった。
幼い頃から今日までの思い出がよみがえる…。
…泳ぎを教わった幼い頃。トムは自分が学校へ行けないと思うと涙かにじんだ。
社長秘書となり、トムの立派な社長ぶりに心躍らせた日々。彼は強かった。誰よりも…。
…しかし、彼は二十歳まで読み書き算数が出来なかった。手紙がくると村の教師サリーに読んでもらったが、いつしかサリーに教わっていた。そして2人は恋に落ち結婚した。
鉄道会社の社長となり、買収した線の会社社長が美しい娘を連れて訪問してきた。トムはその娘に一目ぼれする。それが不幸の始まりだった…。
サリーは1人息子トム・ジュニアを甘やかし、いつのまにか短気な女になっていた。享楽的な息子をめぐりトムと意見が衝突する。「私のおかげで今のあなたがあるのよ」が口癖になっていた。
…新婚の頃、トムは今のままで充分生活出来ていたので高望みはしなかったが、サリーの野望が彼を突き動かす。サリーがトムの代わりに保線係につき、トムは鉄道の勉学に昼夜励んだ。2人の間にトム・ジュニアが生まれ、トムも出世街道を着々と登っていった。
トムのイヴに対する気持ちは高ぶるばかりだ。ついにトムはサリーにイヴを愛していることを告げた。するとサリーは、「望み通りにしていい。死ぬまでに一度ぐらい…」と言ってトムと別れることを承知した。しかし、彼女はその直後市電の前に身を投げ出す…。
サリーが亡くなった後、すぐにトムとイヴは結婚式を挙げる。息子が付添い人で参列者はヘンリーだけだった…。
その直後、ストライキが始まる。トムは強気だ。しかし結局400人もの犠牲者を出してしまう。しかしトムはそのことには気に留めなかった。
トムとイヴの結婚記念日、彼は家に戻ったところ偶然イヴの電話を聞いてしまう。「今、子供は足元にいるわ。小さな金髪の天使。あなたに似てる…」問い詰めるトム。イヴの言い訳はどう考えても嘘だ。トムはうつろになりながら会社に戻るが、重役会議にも身が入らない…。イヴの言葉が響く…。「あなたに似てる…」…結局ヘンリーを呼んで家に帰った。再び子供は誰の子かイヴに問い詰める…。泣きじゃくるイヴ。トムは「望み通りにしていい。死ぬまでに一度ぐらい…」と、かつてサリーが言った最後の言葉を繰り返し、自分の部屋に消えた。そして、その直後銃声がした。ヘンリーとトム・ジュニアが駆けつけると、「サリー…」と言ってトムは息絶えた…。
― “天才児”“スクリューボール・コメディの王”プレストン・スタージェス、渾身のオリジナル脚本のドラマ。これは決して“スクリューボール・コメディ”ではない。念のため。
結婚によって貧困からのし上がり、世話になった妻を捨て若い女に走り、結局は2度目の妻に裏切られ、自殺して果てた男…。そして葬儀では誰も悲しまないという皆には憎らしい男…。
ん~…何か似てると思うでしょ。「市民ケーン」に。
これは、モンスター映画「市民ケーン」の先駆的な作品ですね。まぁ、トム・ガーナーには「謎」は無いし、映画の作りも稚拙だが…。
「市民ケーン」の先駆的作品ということ、プレストン・スタージェスが脚本を書いたということが重要なのね、この映画は。この2つの要因だけで紹介した作品です。
しかし、プレストン・スタージェス渾身の脚本も監督が悪きゃ台無しなんですね。なんと退屈な映画なことか。稚拙な出来なことか。1時間半の映画が3時間に思えたわ…。
この映画は、あくまでも「市民ケーン」のストーリーの先駆的なものであって、「市民ケーン」自体の先駆的なものではないのをしっかりと心に留めるように。
出演陣も、まだスペンサー・トレイシーに貫禄が足りないし(これが痛い!)、コリーン・ムーアにとっては最晩年の作品だし(1934年に引退)、皆何か薄い…。かろうじて語り部のヘンリー役ラルフ・モーガンは手堅いと言えるか。
“これ”と“あれ”とでは大違いなのだ。
| 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (1)
最近のコメント