1951年<アメリカ>
監督
クリスチャン・ナイビー
出演
ケネス・トビー
マーガレット・シェリダン
ロバート・コーンウェイト
ダクラス・スペンサー
ジェームズ・アーネス
ストーリー
アラスカの米軍基地は、北極の科学研究所から謎の飛行物体が落下し、磁力計が狂っているという連絡を受ける。司令部から北極に到着したヘンドリー大尉は、キャリントン博士から報告を受け、スコット記者らと共に落下地点へ向かい、一部分を除き氷に埋もれた円盤を発見する。氷から掘り出すために爆弾を使用するが、爆破と共に円盤に引火、円盤は爆発し飛散する。ガイガー・カウンターが反応する辺りを調べると、氷の中に人のような「物体」が確認できたので、ヘンドリー大尉たちは氷ごと「物体」を掘り出し、科学研究所に持ち帰るが…。
これが謎の円盤だ!!
キャリントン博士は宇宙の神秘だと心躍らせているが、「物体X」の見張りに立った軍側は戦々恐々だ。氷の奥から覗く頭と目がこちらを見ている…。4時間交代は2時間交代に短縮された。
キャリントン博士(ロバート・コーンウェイト)、助手のニッキー(マーガレット・シェリダン)、ヘンドリー大尉(ケネス・トビー)
交代に立った兵士が、「物体X」に支給された電気毛布をかけてしまった。そして、兵士は怪しい影に襲われる。拳銃で激しく応戦する…。ヘンドリー大尉一行が駆けつけると、溶けた氷には人形の跡が残っていた。そして研究所の外では、「物体X」が犬と交戦中だった。急いでその場に駆けつけるが、「物体X」は犬3頭を殺し、噛みちぎられた「腕」を残して姿を消していた…。
その後のキャリントン博士たちの研究で、「物体X」の“腕”は植物性のものと判明する。「物体X」の星では植物が進化したのだ。
ヘンドリー大尉たちはその後も「物体X」の捜査を続けたが、どこにもいなかった。しかしキャリントン博士は温室で目ざとく植物の一部が枯れてるのを発見する。ごみ箱から血の抜かれた犬の死骸が出てきたことから、「物体X」は生きていると確信する。キャリントン博士は「物体X」と意思疎通してみせると頑なだった。また温室に戻って来る。それまで科学者連中で見張りを立てることにした。軍には内緒で…。
ついに「物体X」が温室に姿を現した。見張りの2人を惨殺し、駆け付けたヘンドリー大尉たちをも一撃で倒そうとする。犬に噛みちぎられた腕はもう生えていた。とっさに銃を発射し、ドアを塞いで温室に閉じ込めたが安心は出来ない。キャリントン博士もついに悟った。未知なる「物体」との戦いに巻き込まれたと。体力も知力も人間を凌ぐ。我々は「物体」の“養分”にすぎないと…。
しかし、キャリントン博士の「物体X」への執着は相当なもので、ヘンドリー大尉とキャリントン博士は対立する。しかし、恐れをなした科学者たちがヘンドリー大尉側に付いた。大尉は「物体X」を焼き殺そうとするが、すんでのところで将軍からの電信で「物体X」は生かされることになった。「もっともなことだと思うね」と捨て台詞を吐くキャリントン博士。
…猛吹雪でもう外からの見張りは出来なくなっていた。すると、不意にガイガー・カウンターが上がり始めた。もう一刻も争っていられない。ヘンドリー大尉は「物体X」を焼き殺すことにする。ありったけのガソリンを集めて、「物体X」を待った。すると電気が消え、突然「物体X」が現れた。皆は「物体X」に向かってガソリンをかけ、火を点けた。火だるまになった「物体X」は窓を破り、逃げ去ったが…。
― ハワード・ホークス監督が独立プロ「ウィンチェスター・プロ」で作った2作品のうちの1作。
「プロデューサー」に徹したはずなのに、映画にかかわった者が皆監督はホークスだったと言っているので、主導権を完全に握り自ら操縦もしたんでしょうねぇ。
出演者も題材も限りなく“B級”なのに、映画自体は“A級”ですよ。良く出来ています。SF映画の古典「地球の制止する日」と同じく“異星人襲来映画”の先駆けだと思われれますし(作られたのは同じ年)、随所にハワード・ホークスらしい演出が効いています。
まず、「男」の映画であるということ。男の中の男「軍人」の一団がありとあらゆる脅威から見事生還する。
もちろん、ヘンドリー大尉とキャリントン博士の助手ニッキーとの恋愛シーンも随所に見られますが、2人のシーンは「脱出」や「三つ数えろ」のボギーとバコールをチラリと思わせます。(マーガレット・シェリダンもなかなかのクール・ビューティなんですね)
そして、「軍人」VS「科学者」の構図が飛びぬけて良い。
「軍人」は「物体X」をあくまでも“外からの脅威”と見抜き、「物体」を排除しようとする。対する「科学者」キャリントン博士は「物体X」を科学の勝利とみなし、知恵を授かろうとまでする。「物体X」が知力も体力も人間より凌ぎ、想像もつかない“脅威”だと知っているとしても。
勝手に血漿を持ち出し、「物体X」の手の種子を土に撒き血漿を注入するのだ。そして物凄いスピードで成長したものは…恐ろしいものだった。何千体の「物体X」が作り出されるのか。そしてその物をめぐってヘンドリー大尉と対立する。大尉は皆に公表すべきだと。博士は素人には何も分からないのだと。
いよいよガソリン攻撃でも駄目で、強力な電磁波攻撃へ転じるとき、キャリントン博士は「物体X」が現れると、電源を切ってしまうのである。そして「物体X」に近づき、「私は味方だ」だと宣言するのだ。
このすっとこどっこいな博士は、後のSFホラー映画でよく見られる、頑固で機転の利かない科学者のハシリであろう。
ずっとヘンドリー大尉にへばりついて、「記事を書かせてくださいよ。」「物体Xが来たら写真を撮らせてくださいよ。」などと言っている割に記事を差し止められ、記者の仕事を与えられず、「物体X」の排除に躍起になるスコット記者もいいキャラクターだ。
1982年には、ジョン・カーペンター監督により「遊星からの物体X」としてリメークされる名作である。
しかし、皆放射能が強い所にいながら普通の服って…。「物体X」にやられなくても放射能に汚染されて寿命は短いに違いない。
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