ロード・トゥ・パーディション
監督 サム・メンデス
出演
トム・ハンクス
ポール・ニューマン
タイラー・ホークリン
ダニエル・クレイグ
ジュード・ロウ
ストーリー
1931年、イリノイ州ロックアイランド。よき夫であり、2人の息子の父親でもあるマイケル・サリヴァンには町を牛耳るアイルランド系マフィアの幹部という裏の顔があった。サリヴァンはボスのジョン・ルーニーから息子のように愛されていたが、そんな父ジョンを実子コナーは苦々しく思っていた。ある日、ルーニーの豪邸で営まれた通夜の席、酔った勢いで彼に批判的なスピーチをした男をサリヴァンは止め、車に押し込め家に帰した。費を改めコナーと一緒に話し合いに入るサリヴァンだったが、コナーはかっとなり男を射殺する。その時、破れたドアの下から誰かに見られていることをサリヴァンは気づく。それは、車の座席の下に隠れて付いてきた息子マイケルだった…。
実の親子のようなサリヴァン(トム・ハンクス)とジョン・ルーニー(ポール・ニューマン)
ジョン・ルーニーは、サリヴァンの息子のマイケルとピーターも孫のように思っていた。それが、コナーを追い詰めていく。
サリヴァンの息子マイケル(左、タイラー・ホークリン)
組織の幹部会で男を殺した件を父に責められたコナーは、父への恐れやサリヴァンへの嫉妬と憎悪、それに殺害現場をマイケルに見られたことから、サリヴァン一家を抹殺することを決意する。
ジョン・ルーニーの息子コナー(ダニエル・クレイグ)
自ら妻アニーと次男ピーターを殺害。学校で喧嘩をしたため家へ帰るのが遅れたマイケル。自分を殺そうとした男を返り討ちにし、息子の危機に気づいて家に戻ったサリヴァン。2人は突然の悲劇にどうすることも出来なかった…。
サリヴァン父子はシカゴへ旅立つ。マイケルを守りコナーに復讐するために、シカゴのイタリア系マフィアをアル・カポネの逮捕後牛耳るフランク・ニッティを訪ね支援を仰ぐが、すでに彼の許にはルーニー父子が来ていた。2人の“息子”の狭間でルーニーが選んだのは、デキが悪くとも血のつながったコナーだった。そしてルーニーはニッティにサリヴアン殺害を命令するのだった。ただし、マイケルは殺さずに…。
そしてニッティは殺し屋マグワイヤをサリヴァンに差し向ける…。
殺害現場を撮るのが趣味と仕事の殺し屋マグワイア(ジュード・ロウ)
― 父親と息子の絆の物語。
サリヴァンとマイケルの父子は6週間旅を続ける。妻子の仇を討つための旅。いつもは遠い存在だった父親が旅を続ける間に、マイケルを思う心の優しい父親だと気づく。そして2人は“本物”の父子になるのだ。サリヴァンはマイケルを守り、マイケルもサリヴァンを守るのだった。2人は妻アニーの姉のサラ伯母を頼ってパーディションまで行くことにするが、マグワイアの出現により、進路を変更する。
サリヴァンは恐ろしく頭の切れる男だった。逮捕されたとはいえ、いまだにシカゴの裏社会に影響力を及ぼしているアル・カポネの預金を強奪するという行動に出る。それはニッティを追い詰め、つまりはルーニー父子をも追い詰めることになるのだ。
ジョン・ルーニーとコナー父子は最後まで“本物”の父子にはなれなかった。サリヴァンよりコナーを選んでも、ルーニーはコナーを持て余した。息子に絶望せずにはいられなかった。しかし実子だ。ケチな悪党でも迫りくるサリヴァンの手からは守ってやるつもりだった。断腸の思いでサリヴアン殺害を依頼するルーニー。しかし徹底して“悪”にはなりきれなかった。マイケルを殺さないという情けが、サリヴァンに対する“親心”として現れる。そして、サリヴァンより劣ると自分でも知っているコナーは父親を恐れ続け、憎んだ。
サリヴァンとルーニーの最後の話し合いは胸に迫る。お互い“父親”として2人は対決する。自分の父親さえ裏切っていたコナーへの制裁を迫るサリヴァンと、自分には出来ないというルーニー。自分たちはサリヴァンに追い詰められた。カポネの制裁がいずれ来たら、その時コナーのために泣こう。そしてルーニーはサリヴァンに、マグワイアに殺されたくなかったら、アメリカを捨てアイルランドへ今すぐ渡れと言う。それがマイケルのためにもなるのだと。
“信頼と愛”を勝ち得た父親と、“恐れと憎しみ”を抱かせた父親。そして“慈悲”を祈る「父親」。やはりルーニーはサリヴァンを「息子」としてみていたのだ。その愛情はルーニーに対する愛情とは違い、実に細やかで慈悲深いものだった。
「父親」と「息子」という関係は、遠い関係のように見えて、実はとても奥が深いものなのだと感じた。
「母親」とは何か違って、「父親」という不可思議な存在。男同士の遠慮がちで遠巻きから見るような関係は、息子を正面から守るとても勇敢な、しかし簡単な愛の証明によって乗り越えることができるのだ。マイケルとサリヴァンはそれに成功して「本物」の父子になった。ルーニーもコナーを愛しはしたが、もう一人本物の息子より自慢の息子がいたことが「本物」の父子になれなかった原因だろう。
トム・ハンクスがこんなに良い俳優になっていたとは、大いなる驚きと称賛。(なにせ初期のコメディで私の彼に対する実力は止まってしまっていたのだ!!)ポール・ニューマンと互角に渡り合っているなんて、さすがオスカー2度取ってないですね。
そしてポール・ニューマンは、貫録たっぷり、余裕たっぷり、そして繊細に「父親」の悲しさを表現していて、本当に彼の演技は心に沁みる。歳を経て良くなっていく俳優の見本ですね、彼は。
「熱いトタン屋根の猫」「ハスラー」の頃は、まだ“演劇臭”が抜け切れず、若さもあってかギラギラしていた。「暴力脱獄」を経て、「スティング」「スラップショット」では力加減がいいように抜けてきて、「評決」で円熟の期に達した。そして枯れた魅力の「メッセージ・イン・ア・ボトル」とこの作品。本当、良い俳優だった。
改めてご冥福をお祈りいたします。
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