映画 イタリア

2007年3月21日

郵便配達は二度ベルを鳴らす

3_27 1942年 <イタリア>

監督 ルキノ・

              ヴィスコンティ

出演 マッシモ・ジロッティ

    クララ・カマライ

    ジュアン・デ・ランダ

ストーリー

イタリア、ポー河沿いのレストラン、「ドガナ」の経営者ブラガーナの妻ジョバンナは、歳の離れた夫との生活に辟易し、退屈な日々をおくっていた。ある日、若い放浪者ジーノが食堂へやって来て、ブラガーナに雇われた。ジョバンナはジーノに惹かれ、一方ジーノもジョバンナの官能的な眼差しに惹かれ、2人は深い関係になる。彼らは意を決して駆け落ちするが、ジョバンナは経済的に安定した今の生活を捨てられず、一人店へ帰っていった。取り残されたジーノは旅芸人“スペイン人”と知り合い、気儘な旅を続けるが、偶然ブラガーナとジョバンナに再会する…。

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ジョヴァンナの歌に欲望を感じるジーノ (マッシモ・ジロッティ)

まず、この映画で感じるのは、ジリジリした夏の暑さだ。空はどこまでも青く(モロクロだがそう感じるの)一点の曇りもない。

そんなところに給油に来たトラックの荷台に乗っていたジーノが「ドガナ」というレストランへ入っていく。そして女の歌に導かれ、調理場へ入っていく。そこには歌いながらマニュキュアを塗っているジョヴァンナがいた。ジーノの登場に驚くが、彼がランニング姿になり逞しい体を見せると、彼女の目はジーノの体に釘付けになる。

ジーノが器用な男と分かると、店の経営者、つまりはジョヴァンナの夫のブラガーナに雇われる。ジーノが店にいると、ジョバンナの目は彼を追い続ける。そしてジーノも彼女の官能的で、あきらかに誘っている態度に惹かれる。

                      欲望の果て

5_18壊れていたトラックの部品をブラガーナが取りへ行っている間に、2人は必然的に関係を結ぶ。そして自分がどれだけ不幸か語って聞かせるジョヴァンナ。一旦若く逞しい男に抱かれてしまえば、年老いた夫など邪魔者でしかない。夕食の席で夫とジーノに囲まれた彼女はイライラし通しだった。そして彼女の中で“何か”が芽生え始める。

2人はついに駆け落ちする。しかし、今の安定した生活に慣れきっているジョヴァンナは不安を感じ、1人店へと帰ってしまう。

しかしジーノは生まれながらの放浪者。彼女と別れても旅を続ける。汽車に無賃乗車したとき助けてくれた、旅芸人の“スペイン人”と一緒に旅をする。

そんなある日、ジーノは偶然ブラガーナとジョヴァンナに再会する。それで“放浪”は終わった。

ジーノに逢ってもそ知らぬ顔のジョヴァンナ (クララ・カマライ)

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ブラガーナはのど自慢大会で優勝し、酒をしこたま飲みご機嫌だ。そしてジョヴァンナはジーノに意味ありげな視線を送る…。そしてジーノも彼女の考えを把握したのだった。

― 大破した車が横たわり、ブラガーナも横たわっていた。ジョヴァンナはついに夫を殺し、ジーノを手に入れた。ブラガーナが入っていた保険金も店も自分のものになったのだ。

       店に帰る2人

8_12 一方のジーノは罪の意識にさいなまれ、2人で店に帰っても、罪の重さを感じるだけだった。ブラガーノが寝ていたベッド、ブラガーナの心血を注いだ店…全てがブラガーナに結びつく。意外と小心者のジーノは“ブラガーナ”に囲まれて過ごすことに耐えられなかった。店を売って違う場所で再出発しようというジーノの提案はあっさりと退けられた。今やジョヴァンナが主人だった。言い争いが絶えなくなった2人。

ジョヴァンナは店を再開させるにつき、楽団を呼び、華やかに派手に店を開けた。大繁栄のうちに終わるが、店じまいした後には大量の汚れた食器だけが残り、ぐったり疲れきったジョヴァンナが テーブルに突っ伏しているだけだった…。

ジーノにとって重要だったのは、“放浪”のはずだった。それが1人の女にぐらついた為、断念せざるを得なくなる。街の公園で出会った若いダンサーと一時の逢瀬を持つも、ジョヴァンナが忘れられない。

そしてジョヴァンナにとって重要なのは、ジーノと店である。ジーノに愛されなければもう生きていけなくなっている哀れな女。ジョヴァンナの告白で2人の愛は復活するものの、悲劇の結末へと2人は向かっていく…。

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この映画には原作があるので(ジェームズ・M・ケイン)、先にアップした1946年版とストーリーはさほど変わっていませんが、イタリアを舞台にした今作は“惨めさ”が支配していますね。46年版はラナ・ターナーという“スター”に焦点を当てていますが、こちらは“スター不在”。ジーノ、ジョヴァンナ、ブラガーナの3人の俳優の演技がストーリーを支えていますね。“視線”が語る作品ですね。

どちらの作品も遜色ない出来だと思います。

ジーノ役のマッシモ・ジロッティは、ヴィスコンティ作品の常連ですね。『夏の嵐』『華やかな魔女たち』そして、ヴィスコンティ監督の遺作『イノセント』にも出演していました。若い頃はハンサムで瞳が綺麗な俳優さんだったんですね。

ジョヴァンナ役のクララ・カマライも、決して若く美しいわけではない女優さんですが、“中年女性の官能の魅力”というものを上手く演じてました。

とにかく“暑さ”が感じられる映画でした。

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2006年9月26日

刑事

Photo_22 1959年 <イタリア>

監督 ピエトロ・ジェルミ

出演 ピエトロ・ジェルミ

        クラウディア・

            カルディナーレ

エレオノーラ・ロッシ・ドラゴ

ストーリー

雨の午後、ローマの高級アパートに強盗が入った。刑事イングラバロは2人の部下と共に現場へ向かった。被害者は1人暮らしの金持ちだったが小心者で、被害は少ないから新聞沙汰にはしないで欲しいと事件に対し非協力的だった。事件当時のアパートの様子を調べ始めたイングラバロ達は、隣室のバンドゥッチ家の女中アッスンタに目をつける。彼女は事件当時はバンドゥッチ家にいたが隣室の物音は何もしなかったと供述したが、どうも様子がおかしい。イングラバロは彼女の婚約者のディオメデを捕らえ取り調べたが、その日のアリバイがあった。しかし事件から一週間たったとき、バンドゥッチ夫人がアパートで惨殺された…。

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イングラバロ刑事(ピエトロ・ジェルミ)と女中アッスンタ(クラウディア・カルデナーレ)

アモーレ、アモーレ、アモ~レ、アモーレ・ミヨ~♪ 「死ぬほど愛して」という曲が有名な映画ですね。イングラバド刑事扮するピエトロ・ジェルミ監督が、殺人捜査に執念を燃やす刑事を見事に演じています。顔は結構こわもてのおっさんのようですが、彼の「声」は驚くほど軽やかで優しさにあふれているという、相反するものを持った監督兼俳優さんですね。

この映画を観たのは2回目なんですが、なにせ最初に観たのがまだ10代の頃だったでしょうか?おばさんになってから観たこの映画は、なかなか複雑で興味深い映画に作られていると感じました。バンドゥッチ夫人が殺されてからかなり複雑な人間関係を中心に展開する、この出口が見えない捜査に、焦るイングラバド刑事。バンドゥッチ夫人の周りにはあまりにもきな臭い連中が群がっているんですね。彼女の夫まで何か隠している。一体誰が犯人なのか?彼女の周りの人々を取調べても、他のホコリはごまんと出てくるのに、殺人の当時のアリバイは完璧にある。事件は藪の中になりそうなところで、イングラバドが気づく…。女中のアッスンタが刑事に渡した家の合鍵…。文字通り<合鍵>が<鍵>を握る殺人事件だったとは…。

イングラバド刑事の私生活もさりげなく取り入れてますね。どうやら彼は独身だけれど、恋人がいる。事件が長引くたびに恋人に電話をかけるのに、恋人は相当おかんむりな様子。刑事という職業は過酷で孤独だというものを見せてくれます。

この映画のラストシーンはあまりにも有名ですね。アモーレ、アモーレ…の「死ぬほど愛して」の歌に字幕をつけて欲しかった…。映画にマッチした歌なのか歌詞か知りたいのに、主題歌に字幕をつけてくれない映画が多いですね。イタリア語なんて分かるはずないじゃないの。

                   映画のラストシーン

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