映画 アジア

2007年6月 8日

インフアナル・アフェアⅢ 終極無間

6_38 2003年 <香港>

監督 アンドリュー・ラウ

    アラン・マック

出演 アンディ・ラウ

    トニー・レオン

    レオン・ライ

    チェン・ダオミン

    ケリー・チャン

    アンソニー・ウォン

    エリック・ツアイ

― 2002年 5月…ヤン殉職の半年前

ヤンは手がつけられないほど荒れていた。マッサージ店を破壊するほど荒れていた。何を彼がそうさせたのだろう…。

― 2003年 10月…ヤン殉職の10ヶ月後

ヤンが殉職した事件の調査結果をラウは聞いていた。ラウが脚色して出した書類を検討した結果の報告だ。

特別調査委員会が慎重に検討した結果、証言は信頼できると判断され、ラウが“もう1人のサムのスパイ”ラム警官に発砲し殺害した行為は合法と認められた。…ラウの頭の中で、彼に都合よく作られたビルの屋上のシーンが駆け抜けた。ヤンの額に拳銃が突きつけられていた。そしてラウが説得している。エレベーターが開いた瞬間、ヤンはラム(サムのスパイ)に殺され、ラウはラムを殺した…。

   調査結果に聞き入るラウ(アンディ・ラウ)

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しかしラウは元の部署、内務調査課へは戻れずに、しばらく“庶務課”で過ごすことになる。ガランとした広い空間にラウ一人。地味な仕事も黙々とこなすラウ…。

新しい人物の登場…冷静沈着なその態度の裏に“嫌味”な姿が見え隠れする「保安部」の警官ヨン。

31_1そのヨンの部屋…クリーニングした制服を届けに保安部にやって来たラウだが、入ることを止められる。警官が一斉に集まりだした。銃をヨンの部屋へと照準を合わせている。1人の男が憤懣やるかたない姿で銃をヨンに向けていた。長年ヨンに協力してきたのに、用無しにされた巡査部長だった。発砲音が保安部中に響き渡る。そして、冷静な顔で部屋から出てきたヨン。ラウは“何か”を感じた。

それから一ヵ月後…内務調査課へ晴れて戻れたラウ。自然に頬が緩む。彼の部屋の机の上にはもう事件のファイルが並んでいた。部屋を見渡し、悦に入るラウ。

         復帰に喜ぶラウと同僚

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事件のファイルを並べてくれた同僚が、巡査部長がヨンの前で自殺した案件を切り出した。詳細を調査したくても、「保安部」は政治力が強く秘密主義でやりにくい。質問には一切答えないと言う。そして、巡査部長はサムの手先だった。自殺や失踪した警官がここ半年で数名いる。それは全員サムの手先の者だ。サムの死後、別の内通者が口封じに殺したのだろうと同僚は言う。リョン警視が内通者を突き止めろと躍起になっているようだ。ラウ自身、内通者の1人だった。一生隠し通さなければならない秘密だ…。

   ヨンとラウ。初めての出会い

26 ラウが庶務課に忘れ物を取りに来たとき、偶然ヨンがやって来た。駐車場を申請したが、いつ頃借りられるか聞きに来たのだ。用事が終わり歩き出した2人。いつしか歩調を合わせ並んで歩いていた。ラウがヨンに聞く。「シェンを知っているか?」と。ヨンは「余計なことはあまり嗅ぎ回らないほうがいい。」と警告した。

「シェン」という男は、巡査部長が借りていた部屋の名義の代表の男だ。本土(中国)で手広い商売をしている人物だ。巡査部長が使っていたボーリング場のロッカーから一枚の写真が出てきた。写っていたのはシェンとヨンが会っているところだった。シェンは以前サムと取引していた人物だ。もしかするとヨンは“内通者”かも知れない…とラウは思い始めていた。

ヤンの墓の前…医師のリーが墓をじっと見つめる。その少し後ろにラウがいた。

 ヤンの墓にたたずむリー医師(ケリー・チャン)とラウ

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リー医師は、何故ヤンの心を助けたのか、まだ答えを出せないでいた。知り合って5ヶ月、21回会っただけの男だ。カウンセリングより、椅子で寝ているほうが多かった。そしてその男をまだ愛していた…。墓参りが終わり、リーを送ろうと車に乗り込んだラウ。そのとき、1人の黒ずくめの男が現れた。シェンである。彼は「香港に戻った。」とある男に電話をした。そして相手は「では始めよう。」と答えた。その相手とは、ヨンだった…。

警視庁…まだ犯罪組織課にいたラウたちの許へ「保安部」に来いという連絡が入る。駆けつけるラウたち。ヨンとウォン警視が保安部のドアを開けると、ヤンが椅子にくくりつけられ暴行を受けていた。不気味に微笑むヨン…。ヤンとシェンの弟リャンは商売の話でレストランで会っていた。そのときサムから電話が入る。「灰皿でリャンの頭を殴れ。」という命令だ。訳も分からず灰皿を振りかざしリャンを殴るヤン。そこにヨンたち保安部の連中が都合よく現れたのだ。ヤンとヨンは見つめあった…。

              「保安部」のヨン警視(レオン・ライ)

12_2_1サムの手下共と揉め合うラウたち。後は組織犯罪課に任せるとヨンは言った。サムとその手下が引き上げようとしたとき、ヨンはヤンに待てと言った。ヤンに「俺を覚えているか?」と聞いた。ヤンはただヨンを見つめた…。「俺はお前を覚えている。気をつけろ。」とヨンは言った。これはどういう警告なのだろうか?曖昧な笑顔を残してヤンはサムたちと出て行った…。ウォン警視はヨンに「狙いは何だ?」と聞く。ヨンは涼しい顔で「狙い?任務を全うしている。」と答えるのみだ。

ヤンがリャンを灰皿で殴ったのは、サムの“狙い”の1つだったのだ。シェンの手下がヤンを連れ去ろうとしたとき、キョンはヤンをかばい自分の頭で酒の瓶を割った。そのキョンの勇敢さを称えるように、シェンは不甲斐ない弟に対し、この場から出て行け!!と命令した。そしてヤンの頭に酒瓶を思い切り振りかざした。キョンとヨンが流した血で貸し借りはなくなった。商売の話だ。サムがニヤリとする。全てが計画通りだった。シェンの武器売買にかませて欲しいというのだ。2人はガッチリ手を組んだ。そしてシェンとの取引はヤンに任せられた。

    今回は非情な男…サム(エリック・ツアイ)

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ウォン警視とヤンの電話での会話…ウォン警視はヤンに「精神科」へ通えと切り出した。何故自分が精神科へ行かなければならないのか?いぶかるヤン。傷害事件ばかり起こし、収監されたくなければ精神科へ行けというのだ。嫌なら刑務所行きになる。

診療所…診察を受けにヤンがやって来た。そしてリー医師のいる部屋の扉を…開けたのは、ヤンの墓参りから帰ってきたリー医師だった。

2003年…家具は布で覆っており、郵便物もたまっていた。ヤンがいつも寝ていた椅子を見つめるリー医師。パソコンを立ち上げ、ヤンのカルテを見る…。彼女はラウに言った。「今も覚えてる。あの晩の言葉。“明日が過ぎれば無事だ”と…。」まさか死ぬなんて…と泣き崩れる。何も言えないラウ…。そして2人は診療所を後にした。ラウは鍵のところに紙を挟んで…。

3時間後…暗いリー医師の診療所。ラウがパソコンと向かい合い、ヤンのカルテを見ようとパスワードを探していた。どんなに打っても「パスワードが違います」という答えしか返ってこなかった…。

夜中の警視庁…ラウは躍起になって警視庁の見取り図を見ていた。その彼の心の中では、「ヨンは内通者かもしれない…。」という言葉が響いていた。自分でヨンを調べてみようと思ったのだ。保安部が見渡せる“穴”に監視カメラを設置しようとしたとき、物音が響いた。ヨンが駐車場から自分の部屋へと向かっていた。ラウはその隙をついて、彼の車の下に小型ナビを取り付けた。しかしヨンが引き返して来た。

                        緊張の時間

1_15ラウの電話が鳴った。そしてヨンの前に出てきた。話し続けるラウ。電話を切り、2人で他愛ない話をして、ラウは車で出て行った。1人残されたヨン…。彼は車に仕込んであった機械を取り出し、ラウの行動を見た。彼の車の後部でしゃがむラウが写っていた。…そして保安部に向かった。

保安部が見渡せる“穴”にカメラを仕込んだラウは、ずっとヨンを監視していた。仕事も手につかない様子でモニターに見入るラウ。一瞬ヨンがラウを見つめたように見えた。そして金庫からカセットテープを取り出し封筒に入れ、ヨンはそれを持ち車で出かけた。ラウもヨンの車を追跡する。彼の車の下に仕込んだナビで…。ヨンは封筒をポストに入れ、去った。ラウもそのポストへ来た。彼が帰った後、煙を上げるポスト。そこには困惑顔のシェンがいた…。シェンがその場から去る姿を、ラウはずっと追っていた。そしてシェンが消えた。厳しい顔になるラウ…。

リー医師の診療所…泥棒に入られたようだ。現金と腕時計が数点無い。そして“カルテ”が保存してあるPCも…。リーがつぶやく。「PCなんて盗んでも無駄。ロックしてあるもの。パスワードは車のナンバーよ。」と。とっさに彼女の車の写真を食い入るように見るラウ。泥棒はラウの仕業だった。

何台も並ぶモニターに囲まれ、リー医師の診療所から盗んだパソコンを立ち上げるラウ。リー医師がヤンを治療した日々がよみがえる…。

2002年8月16日 初診…リー医師のいる部屋の扉を開けたヤン。リー医師が色々と説明するが、思わぬ美人の医師の登場に顔がほころぶヤン。しかし収監される可能性もあるということを知り、「ウォンのバカ野郎」とつぶやき、彼は出て行った。

第2回 診療…ヤンは死ぬ直前まで、唯一安心して眠れることになる椅子に寝ながら、リー医師の紋きり調の説明を聞き、同意書にサインした。催眠療法で治療すると言われて一瞬焦るヤン。しかしそれを受け入れ、治療に入った。だが、診療には非協力的だった。第3回も4回目も診療は、成果は出ないどころかリー医師は怒りさえ覚えていた。しかし、リー医師が立ち上がろうとしてバランスを崩し倒れたとき、ヤンは彼女をやさしく介護した。リー医師は言った。「あなたを治したいだけ。」だと。ヤンは初めて“素”の笑顔を見せた。

第…回 診療…ヤンとリー医師が抱き合い、時にやさしく時に激しく唇を絡ませあっている…。そして…目覚ましが鳴った。現実か?夢か?それとも妄想か?…ヤンには分からなかった。しかし妄想だとしても、幸せな時間が過ごせたことに満足感を覚えた。

今日はシェンとの取引の日だ。港にヤンとキョンがやって来た。サムがこの取引を2人に任せたと知ったシェンは、険しい顔になり海を見つめ、何かを考えていた。

図書館…サムとヨンが密会していた。それを探るヤン。だが視線が遮られてしまう。リー医師が彼を見つけ寄ってきたのだ。サムがヨンに「俺の手助けをするか?」と聞いた。ヨンは「助け合おう。お互い様だ。」と答える。話が終わりサムが立ち去った。そして、用心深いヨンは視線を散らしながら歩いている。怪しい人物がいないと分かってから彼は出て行った。ヤンはリー医師に救われた。リー医師といると、自分が素直に笑えることに喜びを感じるヤン。

 恋人同士のような2人(ケリー・チャン&トニー・レオン)

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2003年…ラウの許に一本の電話がかかってきた。それは、昨日サムとヨンが会っていたこと。おそらくヨンは内通者だということ。サムとシェンは数日中に取引をするということだった。この密告者は誰だ?しかしそんなことも考えられないまま、ラウは寝る間も惜しんでヨンを監視していたのだ。またラウの許へ電話がかかる。リー医師からだ。「ヤンからテープが届いた」という。急いで部屋を出るラウ。彼女の許へ急ぐ。そして、ヤンからリー医師に宛てたテープは組織犯罪課に渡すとラウが言った。

リー医師を車で送る途中、ラウのミスで事故が起きた。― 病院…そして声が聞こえた。「明後日、サムとシェンが武器とコカインを取引する。出発前に連絡する。」と言う。「まだサムの信用が薄いな…」という重厚な声がする。やがて第三の声がした。「ヨンは俺に任せろ。」と。ラウ自身の声だった。喋っていた2人はヤンとウォン警視だ。ヤンは疑心暗鬼だが、ウォン警視はラウは有能だから大丈夫だと言った。しかしヤンはウォン警視に言う。「こいつのせいであんたは死んだ」と。ラウを睨みつけるウォン警視。ラウは、あれは事故だったと弁解したが、ヤンは「死を望んだろう?」と容赦ない。ラウは言う。「俺は“善人”になりたいんだ。」と。挽回するチャンスも欲しかった。だがヤンはラウにとって“屈辱”の言葉を吐く。「あいにく俺は警官だ。」そしてラウの額に拳銃を押し当てた…。

現実には、ラウは空の手で椅子を撃とうとしていた…。そして椅子に倒れこんだ。治療を終え、戻ってきたリー医師はいぶかしげに彼を見た。

27無心に眠るヤンをリー医師は見つめていた。起きたヤンにリー医師は勧告する。睡眠療法はお互いの協力が必要だ。ヤンの話は全てが嘘だ。真実を話してくれないと助けられないのだと。「何もわからない…。」と言うリー医師。ヤンが微笑みながらグラスの水を飲む。そしてまた声がした…。「わかるもんか。君は俺じゃない。」と、ヤンが飲んだグラスの水を飲んで椅子に寝た。ラウだった。

リー医師は言う。「秘密を守り通すことが利口とはいえない。」と。

         ラウの夢なのだろうか…

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リー医師が子供の頃の話をする。万引きしたことがあると。店長に見つかったが彼は見逃してくれた。しかし彼女は店長の気持ちを裏切ったのだ。そのことをずっと黙っていた。大学に入り友人に話して、やっと自分が生まれ変われた気がした、と。ラウが、「俺も生まれ変われるか?」と聞く。リー医師が「私を信頼する?」と尋ねる。ヤンとラウは「信頼する。」と答えた。リー医師が質問する。いつ、黒社会に入ったのか?ラウは「入りたくなかった。」と答える。善人でいたかった。なのに、サムの妻マリーに出会った…。ヤンは「そんなことは話せない。」と答える。俺の問題は解決できない。身近な人間を“売る”のが仕事だから…。とヤンは言う。ラウも、いつやめられるのか…生き残るため、身近な人間を“売る”…。過酷な現実に目をそらしたかった。そしてヤンは、「本当は警官だ。」と答え、ラウは「俺は警官だ」と言う。そして「サムの手下でいたくない。」と答えた。呆然とするリー医師…。そして目覚ましが鳴る。現実に引き戻された…。信じられないという表情のリー医師…。ラウは何もかもリー医師に話してしまっていたのだ。そして彼女の中で「明日が過ぎれば無事だ。」というヤンの言葉がこだました…。

2002年…ヤンがウォン警視に流した情報…サムとシェンの取引の日だ。警察も総動員で逮捕に備えていた。しかし「保安部」のヨンが、「作戦中止だ。」と言ってきた。正気なのか?だが“上”からの命令には逆らえない。作戦は中止となった。

2003年…ヤンの姿 ― 警察学校を出て行くとき、振り向いた彼の眼差し ― に思いをはせながら、ラウは着替えようとロッカーの鏡を見た。ヤンが笑っている…。ラウも笑う…。今やラウの中で2人は一心同体になりつつあった。

本土から公安が来て、台湾人の引渡しが行われることになっていた。2人だけを残して保安部の連中は出て行った。そして、人気のない保安部にラウがやって来た。ラウは、保安部の水のタンクに睡眠薬を入れ、その水でコーヒーを飲んだ2人を眠らせておいた。ヨンの部屋に入り、ブラインドを閉め、そしてモニターで研究した通り金庫の鍵を開けた。そのとき、ラウの電話が鳴る。「ラウ、俺のオフィスでお楽しみか?」とヨンが聞いた。2人はお互いに監視し合っていたのだ。しかし目的のテープを取り出したラウは、何も言わず電話を切った…。

                  保安部へ向かうラウたち

3_40ラウの部屋…目的のテープを手に入れたラウは満足げに微笑み、テープレコーダーを持ち、内務調査課の皆に、自信に満ちた声で「みんな、俺について来い。」と言った。そしてヨンを逮捕するため、保安部へと向かった。

ヨンにサムとの関係を聞きたいので内務調査課に動行するように言った。するとヨンは、ラウに自分の行動がわかってるのか?と聞いた。ラウは自信満々で「もちろん。」と答え、テープレコーダーを掲げた。そこに、黒ずくめの男が人垣をかき分けて歩いてきた。シェンである…。

― あの日、サムとシェンの初取引の日、シェンとヤンは埠頭にいた。しかし、取引するはずのシェンの“荷”は綺麗に消えていた。サムはヤンを裏切り、シェンの“荷”を横取りし、彼の乗った車は埠頭と反対方向に向かって走り去って行った。ヤンは見殺しにされたのだ。ヤンめがけシェンの手下が拳銃を撃ってくる。逃げ惑うヤン。ヤンとシェンがお互いに向き合い、銃声が響いた。ヤンは腕を、シェンは足を負傷する。しかしシェンが何かに気づき、ヤンを盾にして振り向くと、ヨンがいた。シェンはヤンの顔に拳銃を当て、「お前らはグルなんだな?」と言った。ヨンは、「あいにく俺は警官だ。」と言い、警察学校で報告書の書き方が“A”だった。お前たちを殺し報告書をうまく書く…ヨンはそう言ったのだ。しかし、シェンの拳銃がヤンから離れた。「サムの手下ではないな。」と彼は言った。それに応じてヨンも拳銃を下ろし、「あんたもシェンじゃない。」と言うのだ。ニヤリとするシェン。そしてシェンとヤンは見つめ合った…。

保安部…シェンの登場にラウは臆することはなかった。ラウはテープを一緒に聞け、面白いぞと誘う。ヨンの顔に一瞬緊張が走った…。そしてテープの再生。

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そのテープにはサムがラウに警察のイヌを探せと、せっついている様子が収録されていた。「ラウ、これが最後のチャンスだ。よく考えろ。」とラウがヨンに向かって言った…。肩を落とすヨン…。同僚はラウを逮捕しようとした。しかしラウは、ヨンこそ本物のラウなのだと言い張る。鬼の形相で、「逮捕に来たのになぜ奴の肩を持つ!」と、そこには正気をなくした男がいた…。そこにシェンが、このテープも聞けとラウに言った。そこにはラウがウォン警視を殺したこと。ラウがサムのイヌだったことを証拠付ける内容の会話が収録されていた…。シェンが、「捕らえろ!!」と警官たちに言う。完全に正気を失ったラウは、拳銃を振りかざしながら誰も寄せ付けず、「何のマネだっ!!」と言っていた。ヨンは「気をつけろと…。」と残念そうに言った。ラウは「なぜ気をつける必要が?」と聞く。「俺は“善人”なのに、なぜだ!!」と言った。警察の中にいるサムの手下を残らず殺したのはラウだった。それなのになぜチャンスをくれない、何故なんだ!!とラウの心の叫びが保安部中に響き渡る。「“善人”になりたい、“善人”になりたい!!」と叫ぶラウ…。「なぜチャンスをくれない!!なぜだ、答えろ!」とまくし立てる。そこにヨンが口を開いた…ラウにとって屈辱のあの言葉を…「あいにく俺は警官だ。」と。ヤンもその言葉を言っていた。そしてラウも「俺も警官だ!!」と言って、ヨンに向けて拳銃を発射した。弾がヨンの胸と額を打ち抜いた。シェンが放った銃弾はラウの肩に当たり、ヤンとヨンが額に弾を受け、崩れ落ちる場面がオーバーラップしながら、ラウも崩れ落ちた…。ヨンの頭の下には血だまりが出来ていた。それを見つめるシェン…。

   シェン(チェン・ダオミン)

11_2_1あの日がシェンの中でよみがえる…。3人は手をたたき合わせ、無事を喜んだ。実は3人とも「潜入捜査官」だったのだ。シェンは本土の、ヤンはウォン警視の、ヨンは警視副総監直々の…。いつかまた3人で再会しようと言った。シェンは、また会おう、いつの日か…と言って去って行った。ヤンも帰ろうとしたが、ヨンがさえぎる。答えがまだだと。「“俺を覚えているか”と尋ねたろう?お前が警察学校を退学し、俺は優秀賞を取れた。」と言った。ヤンは、分かった。というしぐさをしてみせ去って行った…。

ラウは一すじの涙を流し、自らあごを打ち抜いた…。

ラウの部屋を調べていた警官が、もう1つのテープレコダーを見つける。その中には、ラウが好きだった歌が入っていた…。マリーから貰ったテープだ。ヤンからアンプを買うときにも試した歌だった…。

2002年 12月…ヤン殉職の10日後

ヤンが殺されたビルの屋上でシェンとヨンは会っていた。線香を手向けるシェン…。ヨンは、「ヤンは死んだ。線香なんて何の役に立つ」と言った。そして、まだやるべきことが残っていると。うなづくシェン…。

12年前…ヤンが退学になり、警察学校を出て行く姿を追っていたのはラウだけではなかった。ヨンもそうだったのだ…。

「地獄菩薩本願経 巻上」より

これらのごとき輩は まさに無間地獄に落ちる とこしえに 絶え間なく 終わりなく

いや~…話の解説が長くてすんませんです。「インファナル・アフェア」3部作。これにて終了。類まれなストーリー運びと、個々の俳優の輝き。素晴らしかった。特に俳優の性格づけが秀逸でした。潜入捜査官としての意志の強さで何も話さないヤンと、リー医師に何もかも喋ってしまったラウの意志のもろさ…という対比も良かった。

この3作目ではなんと極悪非道のマフィアになっているサムにちょっと驚きました。マリーの死以来、彼はすっかり変わってしまったんですね。

そして、トニー・レオン演じるヤンは、リー医師に出会ってから随分明るくなりましたね。キスをした妄想に浸り、1人ニンマリしたりする。笑顔がゆる~くて素敵…と言うより可愛い。これは何かに似ている…と思ったら、ウチで飼っている犬に似ていたのでした…。

この映画の最後を飾る主役2人、ヨン役のレオン・ライ、シェン役のチェン・ダオミンは、自然に物語りに溶け込めましたね。ヨンは冷静な物腰で、保安部の部下以外には、“近づきがたい人物”として書き込まれていましたね。メガネの下の無表情な目…。ラウが彼には“何か”ある…と感じるのは無理もないかな。

シェン役のチェン・ダミオンも渋くて素敵なんですよ。黒ずくめの男。密輸や武器取引を大々的にやっているが、実は悪人ではないという男を見事に演じていました。“存在”するだけで、目が彼の方に向いてしまっている…という強烈な個性を持った俳優さんですね。

そして最終作で主役に躍り出たラウ役のアンディ・ラウ。これが素晴らしいのなんのって。警察に潜むサムのイヌを全員始末したはずなのに、ヨンが“内通者”ではないかと言われて、自分ひとりで調べようとする。しかし、彼はたびたびヤンに苦しめられる…。彼にとって最も屈辱的な言葉、「あいにく俺は警官だ」という言葉に。それでヨンがラウに殺されたと言っても過言ではないですね。車で事故を起こしてから、彼に変化が現れる。段々ヤンと同化していく…。そして、正気を失っていく。自分がラウではないと思うようになる。ヨンが本当のラウだと。自分は?もしかしてヤンだと思っていたのかも知れない…。ヤンがよく言っていた、「明日が来れば無事だ。」と言う言葉もすっかり彼の言葉になってしまっていますね。

そして、ヤンの殉職前と殉職後のストーリー運びに感心。書くほうは大変苦労しましたがね。シェンが香港に帰ってきて、ヨンに電話を掛ける。「では、始めよう。」と言うヨンの言葉は、ヤンを殺した男を捜し復讐するために、あらかじめ目星を付けておいたラウを追い詰めることだと思いましたが…どうでしょう?

4_41最後に、シェンがよく言っていた言葉で閉めましょう。「運命は人を変えるが、人は運命を変えられない。」

さあ、次はまたクラシック映画に戻ります。クラーク・ゲイブル特集です。お楽しみにぃ…。               

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2007年6月 3日

インファナル・アフェアⅡ 無間序曲

4 2003年 <香港・中国・シンガポール>

監督 アンドリュー・ラウ

    アラン・マック

出演 エデイソン・チャン

    ショーン・ユー

    アンソニー・ウォン

    エリック・ツアン

    カリーナ・ラウ

    フランシス・ン

ストーリー

1991年、黒社会に君臨する香港マフィアの大ボス、クワンが暗殺された。混乱に乗じて離反を目論む配下のボス4人。組織犯罪化のウォン警部と相棒のルク警部は、抗争勃発に備え厳戒態勢を敷く。だが新参の5人目のボス、サムだけは静観を決め込む。彼は時機を待つ気でいた。そのため彼は、サムの妻マリーに想いを寄せていたラウを警察に潜入させようと考えていた。一方、クワンの跡を継いだ次男ハウは、4人のボスのそれぞれの弱みを握り、一夜にして新たな大ボスとしての地位を固める。ウォン警部は秘策を思いつく。警察学校の優等生でありながら、実はハウと異母兄弟のヤンを、ハウの組織に潜入させるのだ…。

※ またネタバレです。この映画を楽しみたい人は最後まで読まんでくれ。

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     警察学校の優等生、ヤン(ショーン・ユー)

― “阿鼻”とは 時間 空間 量の無際限も無く 苦しみを受け続ける地獄である 時の流れも無い

街の中を縫って歩く1人の青年…ある店に着き、香港の黒社会の大ボス、クワンを呼び出した。そして、銃を発射し彼を殺した。若き日のラウである。

そしてラウとヤンが初めて出会った店…サムの妻のマリーが経営する店である。マリーは、サムがラウを警察に潜入させたいと言っていると彼に話した。ラウは「やります。」と答えた。マリーに指示されクワンを殺したことは、2人だけの秘密となる。

そして夜…クワンの次男ハウが、ヤンがいる所に車でやって来た。「父 クワンが死んだ。“自分に何かあれば子供全員に知らせてくれ”」という遺言だ。警察学校の主席・優等生のヤンとハウは異母兄弟だった。

             頭脳プレーが冴えるハウ(フランシス・ン)

6_35クワンの死で何かが起こりそうだった。警察は厳戒態勢をひく。そんな中、ハウは静かに動き出していた。クワンに上納金を払っていた配下のボス4人は、のんきに一緒に食事を取っていた。クワンの死でもう何も怖いことがなくなったと思っている4人。しかし、次々に4人を落としていくハウの手腕は見事なものだった。

警察学校…ヤンとハウが異母兄弟とということがばれてしまった。それを隠していたのは校則違反として、退学処分になる。しかし、ヤンは警官になりたいと切に思っていた。この才能をフイにするには惜しいと教官も思っていた。そしてウォン警部と会えと命令したのだ。ウォン警部は、自分に協力するなら警官にしてやると言う。そして、「兄を逮捕出来るか?」と聞いた。ヤンは「やります。」とキッパリ言った。ヤンはウォン警部に、「善人でありたい。」と言う。厳しい鍛錬。受刑者として監獄にも入った。それを黙々とこなすヤン。彼は本当に警官になりたいのだ。そうしてヤンの潜入捜査官の道がスタートした。

  警官へと生まれ変わるヤン

9_16 1995年…今やハウの力は強大になっていた。そして、ついにヤンがハウの所へ潜入する。なんとハウの方から、自分のところへ来ないかと言ってきたのだ。一方ラウは、サムがもたらす情報で、優秀な警官として昇進していく。

ハウの家でパーティーが開かれた。しかしヤンは身の置き所が無い…。どうやらハウは香港が中国に返還されるまでに移住するつもりだ。サムはハウがいなくなると、街がまた混乱すると不安げに言うが、ハウは、これからの商売はコカインが中心になるが、その仕事の全権をサムに譲り、ボスとして街を牛耳るよう命令する。他の4人のボスは“片付ける”ことになった。

人気の無いバスの中…来週の“取引”の概要がヤンからウォン刑事に渡された。しかし後ろに乗っていた男が話をさえぎる。ウォン警部の相棒で、今は出世“警視”になっていたルクだ。彼はヤンに、「ハウはお前の兄だぞ。本当にやる気か?」と聞くと、ヤンは「警視殿、俺は警官です。」とキッパリと言った。

あるホテルの一室…2人の男女が話している。ウォン警部とサムの妻マリーだった。ママリーは「今夜、ハウを殺すわ。」と言い、ウォン警部に焦るなとたしなめられていた。4年前、クワンを殺した本当の黒幕はウォン警部だったのだ。

タイ…ハウに言われた通り麻薬取引のため、サムは車から降りたところで妻のマリーから電話が掛かってきた。「ハウに殺される。」と。自分はハウの仕事で来ているんだから、そんな事はないとサムは言うが、妻のマリーはついに“秘密”をばらした。「私がクワンを殺したの。」と。凍りつくサム…。そのことがばれれば、自分も殺される…。

ヤンの情報通り、ハウは麻薬取引に動き出した。警察はハウを逮捕した。しかしハウの尋問の最中、大きな事が裏で密かに動いていた。4人のボスが次々に殺されていった。しかし、サムはマリーからの電話で事なきを経た。そしてハウは一本のビデオテープをウォン警部とルク警視に見せた。先日のホテルでのウォン警部とマリーの会話が録画されていた。そしてハウは余裕の表情で取調室から出て行った。

 ハウにしてやられたウォン警部(アンソニー・ウォン)

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それを盗聴していたラウは警察から飛び出した。マリーが殺される、そう思ったのだ。そのおかげでマリーは命拾いをした。

                     戦慄を覚えるヤン

Iハウの冷酷無比な姿があらわになった。命だけは…と懇願する部下をボディーガードに殺させ、そしてボディーガードも“ルクのイヌ”だと知っていて殺した。思わず硬直するヤン…。全面血の海だ。こんな凄惨な場面は初めてだった。ただ立っているのがやっとだった。

ある海辺の一軒家…マリーが腕を負傷して眠っている。そしてラウが彼女を介抱していた。

    サムを心配するマリー (カリーナ・ラウ)

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タイの空港…サムとタイの新しいボスとの緊迫した姿があった。タイのボスはサムを殺す気でいるらしい。一方サムは前のボスを始末してやったし、妻が危ないので助けて欲しいと懇願していた。拳銃までボスの前に投げ出した。しかし、空港中に銃の発射音が響き渡った…。

ウォン警部がアパートから出てきた。彼の車の前でルク警視が待っていた。「逮捕しに来たのか?」と聞くウォンに、「一緒に署へ戻ろう。」と言うルク。上層部はウォンに寛大だと言う。しかし自分がいては皆の迷惑になると、渋るウォン。しかし根負けして、ルクに車のキーを渡したウォン。そのとき、車が爆発した。エンジンを掛けると爆発する仕組みになっていたのだ。誰かが(たぶんハウ)ウォン警部をも亡き者にしようと狙っていた。あまりの激しい火の海に何も出来ないウォン。泣き叫んで、その場に倒れこむことしか出来なかった…。

報われないラウの気持ち(エディソン・チャン)

12_7 マリーにサムが危機に立たされたことがばれてしまった。彼女は一刻も早くタイへ行くと用意をし始める。しかし、彼女を愛していたラウは行かせないと言う。ラウはマリーを押さえつけるが、マリーはラウを叩き、「私はボスの女よ。― 二度と顔を見せないで!」と言い放ち、家を後にした。

夜の街を1人さまようラウ。電話を掛ける。「女は今夜、空港へ。」と。何処へ情報を流したのだろう?

マリーが空港へ到着した。そしてラウも車で彼女を追ってきた。携帯電話をマリーに掛けるラウ。道を挟んで2人は見つめあう…。しかしマリーは電話に出ようともせず、動き出した。その時、車が猛スピードでマリーを轢いて去って行った。ラウはハウの許へ電話を掛けたのだ。マリーは邪魔者、殺されるべき人物の1人だった。

1997年…ウォン警部は厳しい顔で、マリーをそそのかしクワンを暗殺した件で尋問を受けていた。一方ラウは警部補に昇進するにあたり、自分がそれにふさわしい理由を述べていた。今やウォン警部は自信を無くし、ラウは自信に満ち溢れていた。

ヤンは今やンガイ家にとって重要な人物となっていた。取引に出す麻薬の質を調べる役目を任され、その非情な態度に皆は恐れていた。ハウからもその態度をたしなめられていた。ハウはヤンに語る。「返還後の議会への立候補者を集めてパーティーを今夜開く。私が当選すれば、ンガイ家は表社会に出られる。」と。ハウの最終的な目標はそれだったのだ。

パーティー会場…ハウが立候補者たちと歓談していると、警察が大挙して押し寄せてきた。そして、「1995年、複数の殺人事件に関与した容疑で逮捕する。同行を。」とウォン警部が言った。それでハウの野望も終わりだった。

5_24殉職者が葬られている墓…ウォン警部はルク警視の墓を見つめていた。ヤンがやって来た。彼はウォン警部に、「金庫に2年間のハウの記録がある。」と言った。「なぜ、まだ私を手伝う?」と、傷つき疲れきったウォン警部が尋ねると「あんたの為じゃない。俺は警官だ。」と答えた。そして、「もう潜入はやめる。」と言い出した。ウォン警部にもう会いたくないとも。ウォン警部は、「二度と会うことはないよ。」と答えた。彼は2年前のハウの事件を解決したら、警察を辞める気でいたのだ。そして、ルク警視の墓の前で敬礼をして去っていった。後に2人も眠ることになる墓場だ…。

         「警官」としての敬礼

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2年前のハウの事件の裁判で、重要参考人として出廷することになっていたサムが消えた。警察は必死になってサムをむ探す。その頃サムは、ハウと会っていた。ハウは「君が望むなら、過去を忘れて一緒に仕事をしよう。」と切り出した。しかしサムは用心深い。「あんたは俺を今日殺す気だ。」と言ってきた。実はハウはタイから妻子を誘拐し、サムの返事しだいで殺す気でいたのだ。しかし、意外な事が起きた。サムは「まだ当分死ねないようだ。」と自信に満ちた表情で言った。サムのタイの友人が妻子を救い、ハウの家族を皆殺しにしたのだ。怒りに燃えたハウは拳銃をサムに突きつけた。しかし、そこへ警察が到着した。

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「世に出た者はいずれ消え去る。」ハウの父親クワンが生前によく言っていた言葉だ。それを口ずさみ、ハウの拳銃を握る力が強くなって行く…。サムは“死”を覚悟した。そして銃声がした。サムは無事だった。ウォン警部がハウの額を打ち抜いたのだ。崩れ落ちるハウ…。ヤンが抱きかかえたが、彼はすでに死んでいた。初めて“血”を意識したヤン…。苦しい気持ちが駆け抜けた…。「警官」を恨んだ。

そして、香港が中国へ返還された…警官のバッジが変わり、正面玄関にある“シンボル”も変わった。花火が夜空に光り、盛大なパーティーが至る所で始まっていた。ハウの死で居場所がなくなったヤンは、サムの手下となった…。

― 絶え間なきもの3つ “時間” “空間” “業” 罪を犯したる者は 無間地獄で 絶え間なき苦しみを受ける

う~ん…一作目に続いて物悲しい映画です。

しかし、疑問も残る2作目。一作目は続編を作るとは考えていなかったんでしょうね。黒社会のボス、ハウとヤンが実は異母兄弟で、それが原因で警察学校から追放される。そしてヤンのたっての希望でウォン警部が彼を潜入捜査官に育て上げる…という話は一作目では全く出てこなかった。うお~い、「北斗の拳」かよ。成績優秀で、潜入捜査官になるという理由で、校則違反ということをでっち上げて警察学校から出た…ということでしたよ、一作目は。しかし、一作目では語られなかったけど、ヤンが警察学校を退学処分になったのは、実はそうだったのよ~。なんて言われれば、「ああ、そうなんだ。」と思える作りでもあるな…。(ああ、優柔不断…)そして、何故ラウがサムの許にいるのか分からないんですよ。もっとそこの所を突っ込んで欲しかった。この2つがちょっと納得できんかったかな。

ヤンは常に「善人でありたい。」「警官だ。」という確固とした気持ちをもって日々生きている。“兄”だろうと何だろうと、悪人は捕まえてみせるという意気込みも、凄くこちらに迫ってくる。これは一作目から共通してますね。こちらの方がより強調されている感じがしました。そして、初めて見る凄惨な現場。戸惑う気持ち。恐怖を感じる…。そして最後は自分の誇り“警官”を憎みもする。一方のラウは黒社会に属しているが、まだひよっ子のよう。サムの妻のマリーに恋をしている、少年から青年になる過程の頃のラウ君です。警察学校に入るまで、何もしないでブラブラしている。傷ついたマリーの世話をするぐらい。そして“嫉妬”がマリーを殺させる。

この作品に“華”を添える主役は、サム、ウォン警部(まだ警視に昇格してないのね)そしてハウ。

物静かでやさしげ。家族思いで、暴力などとんでもないという男、ハウ。実はそれはあくまでも表向きの顔で、その仮面を外すと、強大な権力を追い求めている姿が見えてくる。頭脳プレーが好きで、顔つきも“いかにも”という感じだ。異母兄弟のヤンを自分のところへ引き入れたのも、“家族”を大切にする気持ちからなのか?そしてヤンはハウの組織でのし上がって行く。信用できるのは、やはり“血”のなせる技なのか…。

そして、ウォン警部とサムの意外なつながり・関係。お互いを“敵”と思いながらも、上手くやっている。お互いを利用しながら関係がずっと続いていく。この頃はウォン警部もサムもまだ若かった。特にサムは無茶をしがちな無鉄砲な男。そして妻を心の底から愛していた。そしてウォンには相棒のルク警視がいた。決め事になると、いつもトランプで決めるのだった。愛する妻と大事な相棒の死…。それを乗り越えて第一作目へと続く。

さあ、後は最後の「終極無間」だけです。またトニー・レオンが見れるのね。楽しみだぁ…。3_39

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2007年5月31日

インファナル・アフェア 無間道

12_6 2002年 <香港>

監督 アンドリュー・ラウ

    アラン・マック

出演 トニー・レオン

    アンディ・ラウ

    アンソニー・ウォン

    エリック・ツアン

ストーリー

マフィアの組員ラウは、ボスであるサムの指示で香港警察に潜り込み、10年で内部調査係の課長に昇進し、ベストセラー作家メリーとの結婚も内定していた。一方、ラウと同じ警察学校に通っていたヤンは、組織犯罪課のウォン警視の指示で、サム率いるマフィアに潜入。しかしヤンは長年に渡る内通捜査で自分を見失い、精神科医リーの許に通院していた。ある夜、ヤンから大きな麻薬取引を行うとの情報を得たウォン警視は水面下で調査を進めるが、同時にラウからサムへ警察の動きが伝わり、検挙も取引も失敗に終わる。そして双方にスパイがいることが明らかになった…。

※完全ネタバレです。

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ヤン(トニー・レオン)とラウ(アンディ・ラウ)、初めての出会い

《涅槃経》 第十九巻

「八大地獄の最るを『無間地獄』という “絶え間なく 責め苦にあう” ゆえにそう呼ばれる」

警察学校…若き日のヤンの鋭い見識感は、潜入捜査官に最適だとして、警察学校から校則違反をしたという理由で退学になったふりをし、彼は警察学校から出て潜入捜査官になった。教官の「校則を違反すれば、彼のように退学処分だ!!ああなりたいか?」という言葉に、ヤンの姿を目で追っていた1人の青年は「なりたい…。」とつぶやいた。そのラウは警察学校を卒業すれば、黒社会のボス、サムの下で警察の情報を流す仕事が待っていた。

潜入捜査員として、黒社会の人間になり悪事を働くヤンだったが、彼の上司ウォン警視には、「もう耐えられない。」と弱音を吐いていた。しかし、ウォンは「我慢しろ。」としか言わない。「あと3年で終わる。あと3年…」と言われ続け、潜入はもう10年にも及んでいた。自分を見失い精神科にもかかっていた。それでもヤンは逮捕され、刑務所で臭い飯も食った。一方のラウは、今や内部調査部の課長に昇進し、警察で揺るぎない地位を築いていた。

― そして数年後、2人は出会う。ある音楽ショップにラウが立ち寄る。出てきたのは、この店の留守番をしているヤンだった。ラウはアンプを試したいと言う。ヤンは手頃だが音の出が良いアンプを紹介し、2人で音楽に聞き入る。2人は特に何の感情も持たず、ただの人間として接した。それが最後だった…。

             ウォン警視(アンソニー・ウォン)とヤン

6_36 ウォン警視とヤンの密会…ヤンは、今週中に黒社会のボス、サムがタイ人から麻薬を仕入れるという情報をウォン警視に流した。ヤンは今、サムの手下として働いていた。

そしてヤンが流した情報の日がやって来た。ウォン警視が長年追ってきた。サムの麻薬取引の現場を押さえる願ってもない時だ。ウォン警視とヤンはモールス信号で情報をやり取りしていた。ラウもそれに気づいたが、彼には解読出来ない。しかしあらゆる手を使って取引を成功させようとするラウ。しかし痛み分けといったところか。サムの方では麻薬は破棄せざるを得なくなり、警察に突入される始末。ウォン警視はサムを逮捕出来なかった。そして、このことでお互いに内通者がいることが分かった。

     無線に聞き入るラウ

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ラウはサムに昨日現場にいた部下たちの詳細なリストが欲しいと言ってきた。内通者を絞り込むためだ。一方ヤンもウォン警視に早く“サムのイヌ”を挙げろとまくし立てていた。

ヤンの通う精神科…ヤンはもはやこの精神科でしか安心して眠ることが出来なくなっていた。カウンセリングそっちのけで、座り心地の良い椅子で無心で眠るヤン。心を開くことが出来るのも、ドクターのリーだけだ。彼は彼女に“秘密”を教える。「実は警官なんだ。」と。相手にされなかったが、ヤンにはそれでもよかった。

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ヤンが病院から帰ると、サムの手下が書類を書いていた。通称「バカのキョン」が、“用心棒”という字を書けなかったので、ヤンは茶封筒の上に書いてみせた。― そして映画館。サムはラウに書類を渡した。しかしそこにはヤンも隠れるように座っていた。内通者の正体を暴くため…。ラウが動き出した。追いかけるヤン。しかしヤンの電話が鳴り、追跡は諦めざるを得なかった。

              ヤンとボスのサム(エリック・ツアン)

18_1サムはヤンに、「お前を一番信用している。」と言われ、酒を酌み交わす。一方警察でも、“サムのイヌ”をあげてみせるとラウに意気込むウォン警視。すぐ近くにいるとは知らずに…。早速サムから貰った資料を調べ始めるラウ。そこには1人だけ“該当者なし”の書類があった…。

ラウの機転で、ウォン警視とヤンの密会がバレた。サムの手下が大挙して押し寄せ、ウォン警視は殺されてしまう。ヤンの目の前にビルの屋上から落とされたウォン警視がいた…。混乱する間も無く警察が駆けつけ、銃撃戦になる。一瞬の差で逃げ出せたヤンはキョンに拾われ、車で走り去った。しかし、キョンの話も何も聞こえなかった…。キョンは「今日現れなかった奴がイヌだ。」とサムに言われていた。しかし、“兄貴分”と慕うヤンのことは言わなかった。そしてキョンは銃撃戦で腹に致命傷を負っていた。ヤンの腕の中で静かに息を引き取る…。キョンは結局潜入捜査官だったとして処理された。

ヤンは、キョンが「倉庫」のことを話していたらやばいと言うので、サムは麻薬が隠してある倉庫に向かう。それを聞いたラウは追跡をやめさせるよう指示したが、誰も聞いてはくれない。何故だ…。ラウは警察内で孤立していた。それでも、潜入捜査官からの連絡であり、彼らを捕まえるチャンスだと力説するラウ。結局皆はラウの意見に従い、彼はこの作戦の責任者となった。ヤンから、モールス信号でラウに情報が伝えられる。彼らは“手を組んだ”のだ。

     黒社会との決別

13_1 とあるビルの駐車場…サムは取引した麻薬を車のトランクに積み込み「倉庫」へと向かう。ヤンは、サムに残れと言われていたと嘘をつき、車から降り、消えた。それからはラウの仕事だ。警察がサムの車の前に現れ、次々とサムの手下を逮捕していく。サムは命からがら逃げ出したが、彼の目の前にラウが現れる。そしてラウの脳裏には、警察学校を卒業した日にサムが言った言葉がよみがえった。― 「昔から“無数の兵の死の上に将軍は立つ”と言う。自分の“道”は自分で選べ」と…。そしてラウは拳銃を撃った。「これが俺の“道”だ」と吐き捨て、サムの遺体を後に去っていった。

作戦の成功とサムの死で、孤立していたラウは警察の皆から暖かく迎えられた。そして彼の部屋にはヤンが待っていた。ヤンが潜入捜査官だったとは、彼も驚いた。ヤンは「“身分”を返してくれ。堅気に戻りたい。」と頼んだ。そして、サムのスパイが判明すれば始末すると言った。動揺するラウ。

ラウがヤンの“身分”を返しに、パソコンに向かっている間、ヤンは1つの茶封筒を見つけた。そこには、彼が書いた文字があった…。書類を片手に戻ってきたラウだったが、ヤンの姿はなかった。そして、ラウの目も茶封筒に釘付けになった…。ラウに自分の正体を見破られたと感じたラウは、ヤンの警察での“身分”を完全に消去した…。そしてヤンを犯罪者として指名手配した。

ドクター・リーの診察室…ヤン椅子で眠りたいと言って、ドクター・リーを呼び出したのだ。いつしか2人の間には“愛”が芽生えていた。翌朝、「俺の秘密を覚えていて。さようなら。」と書いたメモが残されていた。

ラウの新居…婚約者のマリーが1人呆然としたまま座っていた。ラウはその様子に気づかず、ヤンから買ったアンプのあるステレオセットにCDを入れた。そのCDには、サムとラウが話している様子を録音したものだった。マリーとの甘い生活もこれで終わりだった。そのとき、ラウにヤンから電話が掛かってきた。ヤンはあくまでも元の身分に戻せと言う。

            避けられない対決

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ラウはヤンが指定した場所にやって来た。突然ヤンに後ろをとられ、手錠を掛けられ銃も取られた。ラウはチャンスをくれと言った。これからは“善人”として生きたいと。しかし、ヤンは用心深い。「俺を殺すか?」とラウが言えば、「あいにく俺は警官だ。」と答えるのみだ。

16_1頭に銃を突きつけながら、緊張した時が流れた。しかし、その緊張が破られる。ラウをつけてきた1人の警官が現れたのだ。ヤンは彼に、「お前の課長はサムの手下だ。証拠もある。詳しくは署で!!」と叫ぶ。そして2人のいるビルに警察官が集まってきた。ヤンが通報したのだ。

3人はエレベーターがある階まで降りてきた。もちろんラウの頭には拳銃が、警官の拳銃はヤンを狙っていた。そしてエレベーターが開く。ヤンが少しラウから離れた。そのとき、警官の銃がヤンの額を打ち抜いた。ヤンの銃には玉が入っていなかった…。そしてヤンに警官が言った。「心配ない、俺たちは兄弟分だ」と。信じられなかった。

そしてエレベーターは降下し、1階へ着いた。緊張する警官たち。扉が開いた。

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そこには、ラウが1人警官章を掲げ出てきた。エレベーターの中には2人の死体があった。サムの手下の男は、エレベーターが降下中にラウにより拳銃で撃たれ殺されたのだった。

半年後、ドクター・リーがヤンの資料を発見し、ヤンの警官としての身分が証明された。ヤンはウォン警視の隣で眠る。永遠に…。そこには警官の制服を身にまとったラウがヤンの墓の前で敬礼した…。

そして若き日の2人がラウの脳裏によみがえる。「校則を違反すれば、彼のように退学処分だ!!ああなりたいか?」現在のラウが言う。「なりたい…。」と。

― 仏陀曰く 「無間地獄に死は無い 長寿は無間地獄 最大の苦しみなり」

香港ノワールの最高傑作、ここに極まれり。

マーティン・スコセッシが「ディパーデット」としてリメークしましたが、観ていないのでなんとも言えませんが(オスカーを取ったけど、観る気は更々なかったのよ)、良い映画ですよ、これは。ラウとヤンの間を行きかうスリリングなストーリーさばき。見事です。

黒社会に潜入し、自分を見失いかけている男。“警官”というプライドだけを頼りに潜入捜査官を続ける。一方黒社会の男で良き警官を装っている男は、“善人”として生きたいと望むが、それを許されない。黒社会の“ボス”は絶対の存在なのだ。黒社会でも“人情”はある。ヤンを兄貴と慕うキョン。心が揺れる。

サムの麻薬の取引を何が何でも挙げたいと思っているヤンの上司ウォン警視。何が何でも取引を成功させようと躍起になるラウ。そして息詰まるスパイ合戦。お互いのスパイを暴こうと、情報戦に持ち込む。しかし、敵は尻尾を出さない。長期戦だ。ヤンが慕うウォン警視の死…。それを境にヤンは変わっていく。復讐を誓う。そのためには“善人”になりたいと思っている“サムのイヌ”ラウと手を組み、サムを抹殺する。そのラウも、自らサムを殺し、“善人”への道をひた走るかと思われたが、ヤンに正体を見破られ窮地に立たされる。ヤンとラウは戦わなければいけない状況へとストーリーが進んで行く。

そして、ヤンが通っている精神科のリー医師との心の交流。初めて素直になれたヤン。しかし彼女に残したメモはまるで遺書のようだ。彼は“命”をかけてラウと対決する。元の身分、「警官」に戻りたい。自分の居場所をはっきりさせたい。そんな気ではなかったか?

最後に「“善人”である警官」として、ラウはヤンの墓の前で敬礼する。ヤンはラウの“憧れ”だったのだ。黒社会の人間として君臨することに疲れていたのかも知れない。そして警察学校から退学になり、自由になりたいと切に願っていたに違いない。最後の敬礼は、黒社会との別離だ。そして、黒社会に潜入しながら「警官」であり続けたヤンが羨ましかったのだと思う。彼の最後の「なりたい…。」という言葉は、そうであると思いたい…。

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